2213結節性硬化症の診断と治療最前線
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145第章4結節性硬化症の診療体制とサポート 平成27年,結節性硬化症(TSC)が指定難病に追加され,多くの患者家族から喜びの声があがった.特に患者本人の収入が望めない場合は,医療費は大きな負担であり,家族にとっても長期にわたる疾病との闘いをしていくうえで,重い問題であった.また,小児医療や育成医療といった子どものための医療費助成が受けられない年齢になってから(図1),腎臓などに症状が出て,治療の選択を迫られる現実があった(表1). ここでは,患者・家族からみた医療費助成と社会福祉サービスなどをあげてみた.制度自体も変更を繰り返すので,必ず,住んでいる自治体の窓口と直接話をしてほしい.生涯にわたり安定した医療機関とのかかわりを保つため,医療費助成の仕組みや社会福祉サービスの仕組みに興味をもち,関係する自治体の窓口を把握することは大切である.いずれの制度も患者自ら申請し,認定されるものである.医療費は18歳が1つの節目1 医療費助成では,自治体によって小児慢性特定疾病の自己負担分を補ってくれる場合もある.また,独自に病児を抱える家庭に助成金を出している自治体もある.申請にあたり直接必要な提出書類を問い合わせると同時に,他に受けられる支援があるかどうか,必ず確認することが大切である. 医療費助成は,18歳が1つの節目である.小児慢性特定疾病は18歳までだが,状況に応じて20歳まで延長される(図1,2).20歳を迎えた第4章結節性硬化症の診療体制とサポート結節性硬化症の公的助成制度平岡まゑみ (TSつばさの会)Eら,指定難病の申請をする(図3).手帳をもつ,ということ2 「療育手帳」は自治体によって名称が異なる(東京都は「愛の手帳」,など).障害に応じて判定されるものなので,どのタイミングで申請するのか,手帳をもつことで障害を認めることになるのはつらい……など,それぞれ考え方はあるが,手帳をもつことで受けられるサービスは多岐にわたる.これも自治体ごとに違いがあるが,所得税の控除,交通費や公共料金の軽減,携帯電話の割引など,使い勝手のよいものがある.また,支援学級や支援学校などを進路として考える場合,条件図1 年齢による医療費助成や社会福祉サービス*1 自治体により,名称が異なる.*2  国民年金(障害基礎年金).20歳以前に初診日がある場合,国民年金加入と同時に障害基礎年金の支給を申請できる.〔作成:TSつばさの会〕0歳医療費助成社会福祉サービス年金18歳20歳小児慢性特定疾病指定難病療育手帳*1障害基礎年金*2身体障害者手帳精神障害者保険福祉手帳障害者自立支援事業小児慢性特定疾病児童等自立支援事業

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