2218麻酔科クリニカルクエスチョン101
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-1自己血貯血とは?手術の際の出血に備えて採取した自身の血液を輸血するのが自己血輸血であり,血液を採取する方法・時期によって①貯血式,②希釈式,③回収式の3種類に大別される.①貯血式:術前に自己の血液を採取し保存しておく方法.②希釈式:手術開始~開始直後に血液を採取し,同時に人工膠質液を補液する方法.③回収式:術中・術後に出血した血液を回収し,それを輸血する方法.一般的に周術期の自己血貯血というと①貯血式自己血輸血における血液採取を指していることが多く,ここではその適応や注意点について述べる.-2貯血式自己血貯血の適応(表1)1)貯血の適応厚生労働省発行の「輸血療法の実施に関する指針」1)や「貯血式自己血輸血実施指針(2014)」2)によれば,全身状態が良好な患者で,循環血液量の15%以上の術中出血が予測され,輸血を必要とする予定手術において自己血貯血が適応となる.緊急手術に対しての適応はない.患者がまれな血液型や不規則抗体をもつ場合も貯血のよい適応となる.年齢制限は特に記載されていないが,患者本人が自己血輸血に対する理解を示し,協力を得られる必要がある.また採血に際して,ヘモグロビン値が11.0 g/dL以上であることが原則となる.具体的には,1回の貯血では400 mLを上限(50 kg以下の患者では,400 mL×患者体重/50 kg)として手術の1か月ほど前より採血を行い,原則1週間以上の採血間隔をおき2~3回程度貯血を行うことが多い.手術予定が延期となり,貯血血液の有効期限が切れてしまう場合は,期限内にいったん貯血を輸血し,直後に輸血量より1回分多い血液を貯血し,自己貯血を有効に増やす方法もある(かえるとび法).2)貯血の禁忌貯血の禁忌は,菌血症などの全身感染症が疑われる症例である.細菌が保存血中で増殖する危険性があるためである.高カロリー輸液(IVH)中の患者や抜歯後3)も感染のリスクの観点から禁忌とする場合もある.重症心不全や不安定狭心症,大動脈弁狭窄症など,採血による循環動態の変化が致命傷となりうる症例も基本的にはあまり推奨されておらず,「貯血式自己血輸血実施指針(2014)」では禁忌とされている.-3自己血貯血・輸血時の注意点(表1)自己血輸血を行ううえでの最大のメリットは,同種血輸血に伴う様々な輸血合併症や副作用を回避できることにある.特に免疫副作用やHIV,肝炎ウイルスといったウイルス感染症のリスクを回避できるという点で,安全な輸血療法として推奨されている.1)輸血時の基本的注意事項自己血輸血においても同種血輸血同様,血液製剤・患者の取り違えといった輸血過誤が起きる可能性は存在する.輸血時の基本的な注意事項として,患者氏名,ID番号,血液型,有効期限などを確認する必要がある.また,貯血式自己血輸血においては保存血の細菌感染が大きな問題6自己血貯血の適応や注意点は何か?AAAQ6131術前回診と術前評価
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