2226多発性筋炎・皮膚筋炎治療ガイドライン
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xi 多発性筋炎・皮膚筋炎の疾患概要概念・定義 多発性筋炎・皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis : PM/DM)は,自己免疫性の炎症性筋疾患で,主に体幹や四肢近位筋,頸筋,咽頭筋などの筋力低下をきたす.定型的な皮疹を伴うものは皮膚筋炎と呼ぶ.疾患の本態は筋組織や皮膚組織に対する自己免疫現象であるが,すべての筋・皮膚組織が冒されるわけではなく,特に皮膚症状では,特徴的部位に皮疹が出やすい.検査所見上,筋組織崩壊を反映して,筋原性酵素高値を認めるほか,ほかの膠原病と同様に高γグロブリン血症や自己抗体を認めることが多い.疫 学 本疾患は厚生労働省が認定する特定疾患であることから,医療費助成のために患者から臨床調査個人票を毎年提出している.2009年の臨床調査個人票の解析結果によれば,我が国のPM/DMの推定患者総数は約17,000人である.多発性筋炎(polymyositis : PM)と皮膚筋炎(dermatomyositis : DM)とではほぼ同数,男女比は1:3で,発症ピークは5~9歳と50歳代にあった.病 因 本疾患の骨格筋には,単核球の未壊死筋線維周囲への浸潤と,筋線維の変性,壊死,再生が認められる.浸潤細胞はTリンパ球,Bリンパ球,マクロファージなどである.かつて,PMでは浸潤細胞にCD8陽性Tリンパ球が多く,DMではCD4陽性Tリンパ球が多いうえ,筋血管内皮細胞に補体の沈着が認められたことから,前者はキラーCD8陽性Tリンパ球による筋組織傷害,後者は抗体による筋血管障害が原因であるとの説が唱えられた.しかし,その後の研究成果や両疾患の治療反応類似性,皮膚炎のみの無筋症性皮膚筋炎(amyopathic dermatomyositis : ADM)の存在から,むしろ症例それぞれの程度で,筋炎と皮膚炎を発症する自己免疫性炎症性筋疾患という1つのスペクトラムであると考えられる.症 状1)全身症状 発熱,全身倦怠感,易疲労感,食欲不振,体重減少など.2)筋症状 緩徐に発症して進行する体幹,四肢近位筋群,頸筋,咽頭筋の筋力低下が多く,日常生活では,階段昇降,しゃがみ立ち,重いものの持ち上げ,起床時の頭の持ち上げなどが困難となる.嚥下にかかわる筋力の低下は,構音障害ばかりか,誤嚥や窒息死の原因となる.筋痛を認めることもあり,進行例では筋萎縮を伴う.血清では,筋原性酵素〔クレアチンキナーゼ(creatine kinase : CK),アルドラーゼ(aldolase : ALD),乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase : LDH),アスパラギン酸アミノ基転移酵素(aspartate transaminase : AST),
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