2226多発性筋炎・皮膚筋炎治療ガイドライン
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31CQ 15CQ間質性肺炎に副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬で治療する場合に日和見感染症対策は必要か間質性肺炎(IP)に副腎皮質ステロイド大量療法や免疫抑制薬を投与する際,ニューモシスチス肺炎などの日和見感染症への対策が必要である 推奨度A.推奨 フランスのPM/DMを対象とした156例,279例において日和見感染症を発症した症例は,それぞれ18例(11.5%)1),33例(11.8%)2)であったエビデンスレベルⅣ.原因菌は真菌類が最多で,なかでもCandida albicans,Pneumocystis jiroveciが多かった.前者の研究では日和見感染症発症者の末梢血リンパ球数,血清総蛋白濃度は非発症者に比べて有意に低かった.また,発症した18例中2例は副腎皮質ステロイドも免疫抑制薬も非使用例であったが,他は副腎皮質ステロイドが様々な用量で投与されており,7例は免疫抑制薬が併用されていた. プレドニゾロン40 mg/day以上投与された75例のSLEおよびPM/DM患者を集計した成績では,7例(9.3%)にニューモシスチス肺炎が併発し,全例が間質性肺炎の合併例であった3)エビデンスレベルⅣ.ST合剤の予防投与がなされていた症例では,ニューモシスチス肺炎の発症はなかった4)エビデンスレベルⅣ. 2011年のAmerican Thoracic Societyの勧告では,免疫抑制治療を行う患者において,プレドニゾロン20 mg/dayを超える用量を1カ月以上使用する場合,特に免疫抑制薬を併用する場合は,ST合剤の1日1錠連日ないし2錠を週3日投与することが推奨されており5),間質性肺炎治療に際しては,ニューモシスチス肺炎予防を目的として上記投与が推奨されるエビデンスレベルⅥ. 肺結核の予防に関しては,HIV感染患者に準じた予防的措置を講じる.陳旧性肺結核病巣のある患者には,イソニアジドなどの予防投与を行う6)エビデンスレベルⅥ. 1) Marie I, Hachulla E, Chérin P, et al. Opportunistic infections in polymyositis and dermatomyositis. Arthritis Rheum 2005 ; 53 : 155-65. 2) Marie I, Ménard JF, Hachulla E, et al. Infectious complications in polymyositis and dermatomyositis : a series of 279 patients. Semin Arthritis Rheum 2011 ; 41 : 48-60. 3) Kadoya A, Okada J, Iikuni Y, et al. Risk factors for Pneumocystis carinii pneumonia in patients with polymyositis/dermatomyositis or systemic lupus erythematosus. J 解説文 献15

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