2229医療系学生のための 図解病態治療学テキスト&ノート
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31 臨床医学における内科学1 医学は,大きくは基礎医学,臨床医学,社会医学に分けられる(図1-1). 基礎医学は,臨床医学の基礎となる学問である.解剖学,生理学,生化学,薬理学,病理学,細菌学,免疫学,分子生物学などがある. 臨床医学は,病気(疾患)に罹り患かんしている人の治療に関する学問である.内科学,外科学,産婦人科学,小児科学,精神医学,整形外科学,脳神経外科学,眼科学,皮膚科学,泌尿器科学,耳鼻咽いん喉こう科学,放射線医学,口こう腔くう外科学などがある. 社会医学は,人間の疾患や健康と,職業,地域,経済,伝統などの社会要因との関係を研究し,個人と社会の健康と福祉の向上を目標とする学問である.公衆衛生学,環境医学,予防医学,法医学などがある. 内科学は,患者の全身状態を総合的に把握して疾患を診断し,疾患の病態や病因を明らかにし,薬物療法や栄養療法などを用いて患者を治療する臨床医学である. 内科には,内科全般を担当する総合内科と,臓器別内科(循環器内科,呼吸器内科,消化器内科,腎臓内科,内分泌代謝内科,血液内科,神経内科など)がある. 現在の医療では,科学的根拠に基づいて診療方法を選択するevidence-based medicine(EBM)が重視される(図1-2). 看護においても,科学的根拠を活用して最善の看護を提供していくevidence-based nursing(EBN)が重視されている. 診療行為に際して,医師が病状や治療方針を分かりやすく説明し,患者の同意を得るインフォームド・コンセント(informed consent)が大事である(表1-1).Note表1-1 インフォームド・コンセントポイント◦ 検査・治療の目的,内容,危険性,合併症などをわかりやすく説明する◦考えられうる他の検査・治療の選択肢も示す◦決定権は患者にあることを伝える◦ 提示された治療方針を拒否しても,診療に際して不利益にならないことを保証する◦セカンドオピニオンを受けてもよいと説明する◦ 理解力に不安があるときは,十分に理解できる人を同席させてかまわない旨,説明するインフォームド・コンセントがむずかしい例◦ 意識障害,植物状態,認知症患者◦ 未成年者◦ 精神疾患を有する患者◦ 救急搬送されてきた患者

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