2231続・イメージからせまる小児神経疾患50
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109退行,けいれん重積生後5~6カ月で定頚,寝返りも同時期に獲得した.その後,座位獲得なく,生後11カ月頃から寝返りが不可能となった. 生後11カ月時,無熱性けいれんが出現,重積状態となり入院した.入院時の頭囲46.0 cm(0.0 SD),身長70.3 cm(-1.3 SD),体重7,400 g(-2.0 SD),明らかな顔貌異常なし.体幹の筋緊張は軽度低下し,四肢に軽度の痙性を認めた.四肢の深部腱反射は亢進(左右差なし),Babinski反射陽性.肝脾腫なし.ドアの閉まる音などで容易にMoro反射様の体動が出現するなど,音への過剰な反応を認めた.血液検査では,AST,LDHが高値(AST:170~190 U⊘l,ALT:20~40 U⊘l,LDH:700~900 U⊘l)の他は一般生化学・末梢血血算に異常なし(アミノ酸分析正常,乳酸・ピルビン酸正常). 生後11カ月時の頭部MRI画像を図1~図3に示す.在胎週数37週6日,2,700 gで出生.新生児仮死なし.特記すべきことなし.特記すべきことなし,血族結婚なし.主 訴現病歴周産期分娩歴既往歴家族歴問題1 頭部MRI所見は?問題2 診断を進めるためさらに行うべき検査は?問題3 末梢リンパ球の酵素活性を測定したところ,表1の結果を得た.診断は?退行,けいれん,聴覚過敏を認める11カ月男児48表1 末梢リンパ球の酵素活性の検査結果本症例成人対照β‒galactosidase112.95101.91~158.13hexosaminidase A(HexA)9.07467.08~925.75hexosaminidase(total)14613741~4534 (単位:nmol⊘hr⊘mg)図1 T2強調像図2 T1強調像矢状断図3 ‌‌T1強調像‌(inversion‌recovery法)

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