2235筋強直性ジストロフィー 改訂第2版
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76 特定の筋の筋力低下は,補助が可能です。垂れ足は,足首での筋力低下による,よくある問題ですが,靴の中に合うようにして外からは見えないようにもできる,軽量のプラスチック装具で直せます。軟らかい頸部カラーは,他の頸部の問題がある人が使いますが,特に頸部痛や頭痛が頸部筋力低下による場合に,役立ちます。瞼が下がってしまう(眼瞼下垂)のは,特殊なめがね(訳注:クラッチグラス)であげられます。 筋力低下を何とかしようとするのは,体に関しての適応のみではなく,周囲の環境にも,どのようにあなたにとってよいように変えられるか,目を向けなくてはいけません。おもには自宅ですが,仕事場も重要です。けがをしないようにすることは明らかに必須で,すでに述べました。変えることで,無理しないで済むようになり,疲れやすくならないようにできると思います。そのような変更は,専門家のアドバイスを受けながら計画することが必要で,作業療法士や身障者センターの技術が役立つでしょう。前もって考えていくことが必要です。危機的な状況が起きるまで放置しておかないことです。 筋力低下が重度で,動くことがますますできなくなってきたら,特に屋外で,また慣れない場所では,車イスの使用はお考えになりましたか? たとえそれまで好きでしてきたことをやめざるをえなくなったとしても,初めはそうした可能性を考えたくない,という人が多いことに気づいてきました。車イス,特に電動車イスがあると,患者さんが好きなことを続けられ,それほど人に頼らずにいられることがあります。気が進まない人は,車や電車のような発明を利用したくなかった数世代前の人々になぞらえることができます。町から町へ歩くことは今どれほどの人が考えるでしょうか。ふつう,どれほど役立つのかがわかったら,車イスもしくはほかの移動用の補助用具を使うことを受け入れやすくなります。筋強直性ジストロフィーの患者さんでは,これは絶対必要でもないことが多いのですが,忘れてはならないことです(訳注:電動車イスも自家用車も運転操作が問題になることがあります)。 すでに強調して述べましたが,筋強直性ジストロフィーに合併しうるさま家庭での補助用具B医学的な(内科的な)問題C
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