2235筋強直性ジストロフィー 改訂第2版
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74きにもっていると便利なことがあるでしょう。 表10.1のように,現時点では,ミオトニアによる筋のこわばりだけが,特別な薬剤が必要で効果がありうる筋症状です。ただ,こわばりに薬が必要な患者さんは,少数でしかありません。ミオトニアは何年も続く症状ですし,副作用はまれであるとはいえ,長年内服する間には起きないとはいえません。今最もよく使われているのはメキシレチンです。けれども,もっと古くからある,フェニトイン,キニーネ,プロカインアミドのような薬がよいという患者さんもいます。内服する量は,主治医に決めてもらうのがよいです。心臓の伝導を抑えるような作用もある薬もあり(筋疾患以外では心臓の問題を治療するのにも使用されるのですが),心臓の病気があれば,使用しないか,あるいは慎重に診てもらいながら使用することになります。フェニトインは量が過ぎればふらつくことがあります。また妊娠中には胎児に悪影響が出ることもあり,妊娠中とか妊娠しそうなときにはミオトニアに対する内服薬はお勧めしません。 筋力低下は,現時点では薬でよくなりません。試験中の薬や今後あらわれる薬が現状を変えることを期待していますが。ここでは,他の筋肉の病気で有効性があると報じられた薬を,筋強直性ジストロフィーの患者さんでも役立つかもしれないと期待しては使わないのがよいということを皆さんに注意します。そうした薬が効くことはまずありません。むしろ有害な可能性のほうが高いのです。どの種類のステロイドも,さまざまなビタミンやミネラルの大量内服も,薬草,漢方薬や民間療法も,同じです。「天然」薬物は,人工筋症状A表10.1 筋強直性ジストロフィーの筋症状の治療筋症状治療筋のこわばり(筋強直)症状が困るものなら内服薬(本文参照)下肢・足の筋力低下プラスチック足装具(軟らかいものはleaf springともいう)頸部筋力低下軟らかい頸部カラー,車やイスの頭の支え(ヘッドレスト)瞼が下がる(眼瞼下垂)クラッチグラス(手術はめったにしない)全身的な筋力低下車イス(特に屋外では電動車イス)
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