2239耳鼻咽喉科・頭頸部外科研修ノート 改訂第2版
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104MRIが有用である. 緩徐に進行する場合は老人性難聴,特発性難聴,騒音性難聴,一部の遺伝性難聴,聴神経腫瘍,内耳梅毒などがある.騒音性難聴は4,000Hz近傍から聴力閾値が上昇する.聴神経腫瘍や内耳梅毒による難聴は急性発症,再発・変動,緩徐進行のいずれもきたしうるので,誘因・原因が明らかでない感音難聴では側頭骨X線検査,ワッセルマン反応は行うべきである.遺伝性難聴では,聴力型はいろいろであり,発症時期も先天性から成人発症まで様々である.家族歴からある程度遺伝様式が推測できる. 一般に一側聾または一側高度難聴では聴力は変化しない.成人後に対側の聴力悪化を反復することがあり,この場合は対側型感音難聴急性発症固定単発性反復・変動明らかな誘因誘因不明緩徐進行(主に両側)音響外傷,聴器毒性薬物,頭部外傷・側頭骨骨折,ウイルス感染(ムンプスなど),気圧外傷・外リンパ瘻 など突発性難聴,急性低音障害型感音難聴,外リンパ瘻 など(蝸牛型)メニエール病,遅発性内リンパ水腫,内耳梅毒,ステロイド依存性難聴,聴神経腫瘍,前庭水管拡大症 など老人性難聴,特発性難聴,騒音性難聴,遺伝性難聴,聴神経腫瘍など先天性難聴,遺伝性難聴,一側聾など図2 内耳性難聴の鑑別診断のフローチャート表2 蝸牛神経・脳幹聴覚伝導路障害をきたす疾患1.腫瘤性病変の圧迫・湿潤内耳道・小脳橋角部腫瘍,脳幹腫瘍,サルコイドーシス,など2.虚血性病変椎骨脳底動脈・前下小脳動脈領域の梗塞,など3.機械的損傷外傷,頭蓋内手術による副損傷,など4.脱髄・変性・炎症多発性硬化症,脊髄小脳変性症,副腎皮質変性症,蝸牛神経炎,など5.代謝性疾患Maple syrup urine syndrome, phenylketonuriaなど6.その他Auditory neuropathy/dys-synchrony (auditory neuropathy spectrum disorder)など
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