2248評価プロセス×リハプログラム PT/OTリハ演習メソッド
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17Ⅰ 身体障害A 中枢神経Ⅰ 身体障害B 非中枢神経Ⅰ 身体障害C 脳性麻痺Ⅱ 高次脳機能障害Ⅲ 発達障害Ⅳ 精神障害3 上肢がふるえるABC・姿勢観察  立位では前傾姿勢,肩・肘関節は軽度屈曲位を呈した.静止時に上肢(とくに手指)のふるえがみられた.保持能力でバランスは低下している.ふるえは精神的緊張で増加した. 「上肢がふるえる」症状の原因は本項の医療解説の表1(▶p.19)を参照.事例の該当箇所を確認する.着眼点 上肢の静止時振戦(ふるえ)の原因は,この症状以外に固縮,動きが遅くなる(無動),姿勢反射障害がみられることから,パーキンソン病によるものと考えられた.Hoehn―Yahrの重症度分類「1 歩幅が狭い」の表1▶p.7では2に該当した.現状では前傾姿勢などの姿勢反射障害がみられるものの顕著ではなく,一部のADLには時間はかかるが自立している動作もみられる.今後,ROMの制限やバランス能力の低下などを念頭におきながら,上肢のふるえがADL上にどのような影響を与えるかを予測してアプローチすることが重要である.この事例のリハビリテーション処方箋の診断は パーキンソン病 である.医療解説を参照しながら▶p.7, 13, 19,事例の症候の観察と検査の結果を統合しリハプログラムを作成する.疾患の特徴を踏まえリハプログラムを作成する パーキンソン病を原因とする上肢のふるえと判断し,図5を参考にリハプログラムを作成する.基本方針1:パーキンソニズム(一次性障害)の進行防止と改善へのアプローチ・ROM運動,適度な運動を通じての全身活動(歩行練習含む)により関節の可動性や柔軟性を保つ.・長時間の同一姿勢を避け,寝返りや体幹の回転練習なども行う.基本方針2:二次性障害の予防・パーキンソン病患者の多くが二次障害に直面するが,とくに廃用症候群に注意が必要である(図5).・症状の進行を緩やかにすることで,機能低下のスピードも緩やかになる.・疼痛の出現や褥創にも注意する.基本方針3:ADLの維持に向けたアプローチ・上肢のふるえはADLに支障をきたす.たとえば,刃物の操作は静止時のふるえによる体への切傷などリスクが高まるため,調理動作などは困難となる.しかしながら,ADLや趣味を通じて,身体活動に取り組むことは楽しみながらの機能維持につながることを理解する.そのため事例のニーズに応じた道具選択,自助具の製作などを検討する.プロセス❹

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