2250薬剤性腎障害DKI診療QandA
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196発症機序病態略名:正式英名原因薬剤臨床経過および治療法検査所見中毒性急性尿細管壊死(尿細管細胞毒性による)(浸透圧性を除く)※1ATN:acute tubular necrosis(tubular toxic-ity)アミノグリコシド系抗菌薬,第1世代セフェム(セファロリジン:製造中止),アムホテリシンB,重金属(シスプラチン,ネダプラチン),リチウム,ゾレドロン酸,パミドロン酸,ヨード造影剤,マンニトール,低分子デキストラン,ヒドロキシデンプン,バンコマイシン,テイコプラニン,NSAIDs(COX‒2阻害薬を含む),メトトレキサート,インターフェロン,マイトマイシンC,ペントスタチン,イマチニブ,ペメトレキセド,タクロリムス,ペンタミジン(ベナンバックス®.注射だけでなく吸入も),カルバペネム(イミペネム,パニペネム,ビアペネム,ファロペネム),ニューキノロン系抗菌薬,サルファ剤,メトキシフルラン,カルバマゼピン,抗HIVウイルス薬(アデホビル,シドフォビル,テノホビル),ホスカルネット,コカイン,イホスファミド*,コリスチン,ポリミキシンB注,ボリコナゾール注,イトラコナゾール注,ガンマグロブリン,鉛,ストレプトゾシン,アリストロキア酸(関木通:中国製漢方薬の成分),Fosfamide,Picamycin/Mith-ramycin,シメプレビル,シクロスポリン,リファンピシン,ミコナゾール,フルコナゾール,アシクロビル,オセルタミビル,テガフール,シロリムス,マイトマイシンC,Chloroquine(ライソゾーム酵素阻害によるリン脂質症),カドミウム,水銀,ポリドカノール,デフェラシロクス,テムシロリムス,臭素酸ナトリウム(パーマ第2液)*: 腎におけるCYP3Aと2B6がイホスファミドの腎毒性を増強尿細管細胞が障害され,GFRが低下し腎不全になる.用量依存性薬物が多い被疑薬の投与を中止し,対症療法を行う.TDM対象薬はTDMを実施する.FENaが2%以上,尿浸透圧が350 mOsm/L未満になる.尿沈渣で顆粒円柱(泥茶色円柱muddy brown cast)・白血球円柱,尿細管上皮が出現する.尿細管から逸脱するN‒アセチル‒β‒D‒グルコサミニダーゼ,β2‒ミクログロブリン,α1‒ミクログロブリン上昇.浸透圧性腎障害ON:osmotic nephrosis大量静注イムノグロブリン(安定化剤として含まれているショ糖が腎障害の原因?),ショ糖,デキストラン,ヒドロキシエチルデンプン,ヨード造影剤,D‒マンニトール(高用量)細胞膜を介した浸透圧変化による急性尿細管壊死.血栓性微小血管症(内皮/筋細胞障害)※1TMA:thrombic micro-angiopathyシクロスポリン,タクロリムス,マイトマイシンC,キニーネ,結合型エストロゲン,5‒FU,インターフェロン,チクロピジン,クロピドグレル,血管新生阻害薬(チロシンキナーゼ阻害薬・抗VEGF抗体:ベバシズマブ),ゲムシタビン,ソラフェニブ,スニチニブ,キニーネ,フルオロウラシル,インジナビル,オザグレル,バラシクロビル,ブレオマイシン,シスプラチン,ペントスタチン,ヨード造影剤志賀毒素による溶血性尿毒症症候群(HUS),血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenia purpura:TTP)も典型的な血栓性微小血管症である.被疑薬の投与を中止し,対症療法を行う.マイトマイシンによる血栓性血小板性紫斑病に対してステロイド治療,血漿交換,免疫吸着が有効な場合がある.ステロイド治療,血漿交換無効例にリツキシマブが有効であったという報告もあるが,『がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2016』では血漿交換は推奨されていない.血小板減少による紫斑,溶血性貧血による全身倦怠感・動悸・呼吸困難,腎機能障害,発熱,蛋白尿も起こる.溶血性尿毒症症候群(免疫反応によるメサンギウム融解,血管内皮障害により緩徐に進行する)※1HUS:hemolytic‒uremic syndrome(severe hemo-lysis)マイトマイシンC,キニーネ,シクロスポリン,メルファラン,シスプラチン,オキサリプラチン,カルボプラチン,ゲムシタビン,インターフェロン,ペントスタチン,タクロリムス,エベロリムス,リバビリン,キニジン,スルホンアミド,ヒドララジン,トリアムテレン,Nitrofurantoin,Mephe-nytoin被疑薬の投与を中止し,対症療法を行う.酢酸リンゲル液に比し,HES使用群で有意に総死亡リスク・死亡リスクが高いというCHEST研究あり(NEJM,2012).LDHの上昇,ヘモグロビン値の低下が認められる.表1 薬剤性腎障害原因薬物一覧表(2016年12月現在)
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