2250薬剤性腎障害DKI診療QandA
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202表2 腎機能低下時の主な薬物投与量一覧(2016年12月現在)分類重要度薬剤名透析性禁忌腎障害常用量GFRまたはCCr(mL/分)HD(血液透析)PD(腹膜透析)一般名番号商品名30~5915~29<15弱オピオイド○トラマドール塩酸塩1トラマールOD錠×100~400 mg 分4腎障害者(軽度も含む)ではt1/2βおよびAUC0~∞は健康成人のそれぞれ最大で1.5倍および2倍になるため,最大量を腎機能正常者の50%に減量する○2トラマール注×100~150 mgを筋肉内に注射その後必要に応じ4~5時間に反復注射○トラマドール塩酸塩徐放錠3ワントラム錠×禁1日1回100~300 mgを経口投与し,1日400 mgを超えないこと.初回投与する場合は,1日100 mgから開始することが望ましい.腎障害者(軽度も含む)ではt1/2βおよびAUC0‒∞は健康成人のそれぞれ最大で1.5倍および2倍になるため,最大量を腎機能正常者の50%に減量する高度な腎障害では作用および副作用が増強するおそれがあるため禁忌.○トラマドール塩酸塩37.5 mgアセトアミノフェン325 mg配合錠4トラムセット配合錠配合剤禁○非癌性慢性疼痛では1回1錠,1日4回(投与間隔として4時間以上),抜歯後疼痛では1回2錠.最高用量1回2錠,1日8錠,空腹時の投与を避ける.腎障害者(軽度も含む)ではトラマドールのt1/2βおよびAUC0‒∞は健康成人のそれぞれ最大で1.5倍および2倍になるため,12時間毎に1回2錠を超えないことが推奨される(米国添付文書より)アセトアミノフェンが配合されているため,わが国の添付文書上では重篤な腎障害のある患者では「重篤な転帰をとるおそれがあるために禁忌」となっているが,米国ではこのような記載はないブプレノルフィン塩酸塩5レペタン注×1回0.2~0.3 mg必要に応じて6~8時間毎に筋注腎機能正常者と同じ6レペタン坐剤×1回0.2~0.4 mg必要に応じて8~12時間毎ブプレノルフィン7ノルスパンテープ×前胸部,上背部,上腕外部または側胸部に貼付し,7日毎に貼り替える.初回貼付用量はブプレノルフィンとして5 mgとし,その後の貼付用量は患者の症状に応じて適宜増減するが,20 mgを超えないこと.ペンタゾシン塩酸塩8ソセゴン注ペンタジン注×1回15 mg 3~4時間毎/皮下注または筋注ペンタゾシン塩酸塩添加物:ナロキソン塩酸塩9ソセゴン錠ペンタジン錠×1回25~50 mgを3~5時間毎消炎鎮痛解熱薬(NSAIDs)○TDMアスピリンダイアルミネート10バファリン配合錠A330×禁○通常は1回2錠,1日2回食後関節リウマチ,リウマチ熱,症候性神経痛では1回2~4錠,1日2~3回食後高齢者,高血圧患者,糖尿病患者,心不全患者,利尿薬の併用されている症例など腎障害のリスクの高い患者には漫然と投与しない腎障害を悪化させるおそれがあるため重篤な腎障害には禁忌重篤な腎障害には禁忌だが無尿の透析患者では減量の必要なし○アンピロキシカム11フルカムカプセル×禁○1回27 mgを1日1回食後に経口投与○アンフェナクナトリウム水和物12フェナゾックスカプセル×禁○1回50 mgを1日4回,食後○イブプロフェン13ブルフェン錠×禁○1回200 mgを1日3回,食後○インドメタシン14インテバンSP×禁○1回25 mgを1日1~3回,食後○15インテバン坐剤×禁○1回25~50 mgを1日1~2回直腸内投与○インドメタシンファルネシル16インフリーカプセル×禁○1回200 mgを1日2回,食後CCrで表示している添付文書における血清クレアチニン値測定法は多くがJaffe法によるものであるため,CCr≒GFRと考えてよいものが多い.そのため本表ではGFRまたはCCrと表記されているが,基本的に患者の腎機能は痩せて栄養状態の悪い患者を除き,体表面積未補正eGFR(mL/分)によって腎機能を推算する.eGFR(mL/分)は多くの薬物の添付文書のCCr表示と同等に扱ってよい.痩せて筋肉量の少ない患者では蓄尿による実測CCr×0.715によりGFRとして評価するか,シスタチンCによる体表面積未補正eGFRを算出して腎機能の評価をする.GFRまたはCCrの単位は基本としてmL/分を用いるが,投与量がmg/kgやmg/m2のように固定用量ではない場合にはmL/分/1.73 m2を用いる.重要度:腎機能低下患者に対する薬物投与に関し,投与法調整の重要度の高い順に◎(最重要),○(重要),△(要注意)印をつけている.透析性:通常の血液透析によって除去される(除去率40%以上)ものは○,除去されないものは×としている.禁忌:高度腎機能障害や透析患者など腎機能の低下した患者に添付文書上,投与禁忌の記載のあるものには「禁忌」の項に「禁」をつけている.腎障害:複数の信頼性の高い薬剤性腎障害に関する総説で,薬剤性腎障害の原因薬物となるものには腎障害の項に「○」をつけている.アレルギー性の腎障害は除いている.本表の作成にあたっては,記載ミスのないように最大限の努力をしているが,新規性,正確性,完全性については筆者が保証することはできないので,最新の情報を入手すること.またこの一覧表は小児には適応していない.
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