2252やさしくわかる胎盤のみかた・調べかた
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116FAQここでは,日常の診断業務やコンサルテーションでこれまでに筆者が受けたことのある質問を紹介する.肉眼検索事項(胎児付属器の全重量,臍帯の付着部,太さ・全長,破膜部,胎盤の大きさ,胎盤母体面の白色調変化の有無など)は施設ごとに定型的なものがあると思います.このうち,捻転や結節など臍帯の所見は娩出後消失することがあるので,記載漏れがないようにしてください.胎盤をホルマリン固定後に提出する施設では,未固定での色調の記載も大切です.正常胎盤の色調(赤紫透明)とどのように違うか(白色調,緑色調など),混濁の有無,を記載しておいてください.凝血付着がある場合,固定後に剝がれてしまうことがあるので,その部位の記載も忘れずにしておいてください.なお,胎盤搬送時の感染対策はスタンダードプリコーションに従っていれば十分です.およその臨床診断(胎児水腫,胎児発育不全,早産,絨毛膜羊膜炎,妊娠高血圧症候群,胎盤早期剝離の疑いなど)および超音波所見や分娩経過に沿ってどのような病態がいつごろ出現したのかを臨床経過として記載してください.母体,胎児の時系列を一致させて記載しておくといいでしょう.病理医はそれを手掛かりに,臨床診断・臨床経過に合致する所見の有無を検索していくことができます.施設により検体搬送,病理切り出し室などの感染対策の状況が異なりますし,病理医によっても未固定で検索するか,ホルマリン固定後に検索するか考え方が異なるため,どちらがいいか一概にはいえません.本文中でもふれていますが,筆者は未固定の状態で胎盤の検索を行っています.そのほうが,子宮内の状態に近いと考えられること,またホルマリンの使用量が少なくてすむからです.ただし,未熟な胎盤や,浮腫の強い胎盤はくずれやすく,割を薄く入れることができないため,固定後検索しています.分娩室での胎盤観察で注意すべきことはなにかありますか? 助産師よりQ1A臨床的に病態の原因がよくわからない症例では,胎盤検査申込書には何を書けばいいですか? 産科医よりQ2A胎盤は未固定(生)で提出するのがいいか,ホルマリン固定後提出するのがいいか,どちらでしょうか? 産科医よりQ3Aよくある質問FAQ

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