2252やさしくわかる胎盤のみかた・調べかた
7/8

117よくある質問胎盤をビニール袋などに入れてホルマリン固定すると,母体面に裂け目がつきやすく,その原因が分娩時の障害によるものなのか固定によるアーティファクトなのかがわからなくなることがあります.また,胎盤を丸めて固定すると固定ムラが起きやすいため,ホルマリン固定に際しては密閉可能な平らな大きめの容器に母体面を下にして,検体すべてがホルマリンにつかるように固定してください.なお,未固定(生)胎盤は容器から出せば形状は元どおりになります.提出された胎盤に理由のわからない不自然な損傷があると,病理診断に困ります.検体を採取した旨(場所,大きさ)を記載しておきさえすればそれ以外の部分から標本を採取することができるので問題ありません.なお,検体採取前にマクロ写真を撮っておくと後日総合的に検討する時,役に立ちます.目印:多胎胎盤では臍帯に目印をつけて提出するのが一般的です.目印には絹糸やタコ糸を使い,肉眼的に何もなさそうなところ,できれば胎児側断端から10cmあたりに,糸がはずれてしまうことがないようにややきつく締めてください.臍帯の胎児側に第1子の臍帯に糸を1本,第2子の臍帯に糸を2本というようにしておくといいでしょう.糸の代わりに臍帯クランプを用いてもいいです.ガーゼははずしにくいうえ,臍帯からはずれてしまうことがあるので使わないでください.記載:多胎胎盤提出時の記載で重要なのは,児の区別です.双胎妊娠では先進児が胎児1,後続児が胎児2として扱われ,経腟分娩でそのまま先進児が娩出されれば第1子,次の児が第2子として扱われますが,臨床的にどちらの児(臍帯)が第1子,第2子であるかをわかるようにしてください.FGRを呈する症例で臨床的に説明のつかないものは胎盤機能不全として胎盤を提出します.胎盤機能不全でも,絨毛の発育異常や,慢性絨毛炎(villitis of unknown etiology:VUE),胎盤梗塞,循環障害性の変化などの所見があれば病理学的に診断可能です.これらの所見がない場合確定診断は困難です.ご家族には,胎盤機能不全には様々な原因があり,病理検査を行っても形態学的所見がない場合もあることを説明してください.胎盤をホルマリン固定後に提出するときの注意点はありますか? 産科医よりQ4A絨毛培養などのため,分娩室で胎盤の一部を採取してから病理検査に提出する場合,気をつけることはありますか? 産科医よりQ5A一絨毛膜双胎の胎盤を病理検査に提出するときに,両児を見分ける目印や記載が必要だと思いますが,どのようにしたら病理医にとってわかりやすいでしょうか? 産科医よりQ6A1A2家族歴,妊娠経過などに問題のない原因不明の胎児発育不全(FGR)の症例で,胎盤に所見が何かないか検査に提出する場合,検査目的はどのようにしたらいいでしょうか? また,診断結果はどのように家族に説明したらよいでしょうか? 産科医よりQ7A

元のページ 

page 7

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です