2254育てにくさの理解と支援
2/10

状況 1歳を過ぎてもつかまり立ちをする様子がみられず,大人の呼びかけに対する反応や玩具への興味関心も薄い状況にある.身体の発達については,同年齢の子どもと比べると時間がかかるものの,時間が経てば徐々にできるようになっていくものもある.しかし,筋緊張が低く,一定の体勢を長い時間保つことが難しい様子がみられる.定型発達児の場合,首がすわる:生後6ヶ月頃,おすわり:生後10ヶ月頃,寝返り:生後10ヶ月頃などとされているが,いずれの姿勢の獲得も数ヶ月ずつ遅れている. 対人面では,とてもおとなしく,いつも一人で黙々と遊ぶ様子であったため,保護者(親)は手のかからないおとなしい子という認識であった.突然大きな音がすると身体をビクッとのけぞらせるなど,聴覚には問題がみられないものの,大人の呼びかけには反応がにぶく,あやしても笑わない様子がみられた.言語コミュニケーション面では,要求は空腹時に泣いて訴える程度で,欲しいものがある,してもらいたいことがある場合であっても,何らかの手段で訴えることはせず,すぐにあきらめてしまう.また,指さしもみられない.解説 乳児期では,一つくらいのスキル獲得が遅れていることは多々みられる.しかしこうしたケースでは,運動面,対人・言語コミュニケーション面の様々な領域について獲得の遅れがみられるため,全般的な発達の遅れの疑いがある.一般的には,生後3ヶ月頃から首が安定しはじめて,生後4ヶ月頃には約9割の乳児の首がすわる.また,運動面では,9ヶ月頃からつかまり立ちを,11ヶ月頃から伝い歩きを始める.対人面では,4ヶ月頃から大人があやすと声を出して笑うようになり,8ヶ月頃には特定の養育者への愛着関係が強く結ばれると同時に,人見知りが強くなる. 発達が全般的に遅れている,知的発達障害のある子どもは筋緊張が低く,姿勢128橋本創一❶全般的に発達がゆっくりである育てにくさの要因子

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る