2255ライフサイクルに沿った 発達障害支援ガイドブック
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123第3章 発達障害と二次障害・関連問題とその治療的アプローチ9 暴力・衝動的行為(図1).発達障害の存在が早期に発見され,早期から正しい支援を受けられれば,二次障害は本来なら生じないはずである.しかし発達障害の存在に周囲が気づかぬ場合など,正しい支援が得られない場合,二次障害リスクが高まっていく. 厄介なのは,二次障害症状が華々しく出現すると周囲の耳目はそれらの症状に集中し,結果的に基盤として存在する一次障害(発達障害)にいっそう気づけなくなってしまうことである.その帰結として社会的な評価がいっそう低下したり,周囲の不適切な対応がエスカレートしたりして,二次障害もいっそう増悪するという悪循環が生じてしまう.問題行動が悪化していく際には,このような状況が背景として存在することが多い. 前述のように,発達障害の一次障害特性が暴力や衝動的行為の惹起やその内容に影響することはありうる.しかし対応困難ケースにおいては,圧倒的に発達障害に対する不適切な対応や支援が二次障害を引き起こし,外在化症状としての暴力や衝動的行為を惹起していることが多い.図1二次障害の発現と増悪周囲からの社会的評価の低下周囲の不適切な対応〈いじめ,理不尽で過度の叱責,虐待など〉自己肯定感の低下基本的信頼感の低下二次障害症状の発現・増悪〈内在化・外在化〉一次障害(本来の発達障害特性)行動上の問題周囲とのずれ悪循環

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