2255ライフサイクルに沿った 発達障害支援ガイドブック
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37第2章 ライフサイクルに沿った具体的な治療と支援1 注意欠如・多動症(ADHD)―b 思春期・青年期における課題と支援ADHDASDLD幼児期学童期思春期青年期壮年期老年期 思春期以降のADHDにおける学業の問題は,それまでの繰り返し学習の不足や取りこぼしによるもののほか,小学校から中学校という教育システムの変化による情報量の増加についていけなくなって生じるものが大半であろう.知的水準がある程度高い場合は,小学校までは一夜漬けの詰め込み学習で乗り切れることも多いし,そうでなくても保護者や教師の管理が行き届いている場合にはそれほど大きな問題にならずにすむ.しかし教科担任制となる中学校では生活全体を把握してくれる担任はもういない.保護者も中学校に入ると子どもの自立を望み,自主性を尊重して管理の手を緩める.図1のように,学級担任や母親が子どもの実行機能の一部を担うことで成り立っていた生活は一変し,子どもは自分自身で各教科に必要な持ち物や課題の管理をしながら日々の活動をマネージメントしなければならなくなるのだ.そこに至ってはじめて,課題や宿題が期限内にできない,締め切りを忘れる,持ち物がわからない,定期試験までに範囲内の勉強を終えることができないといった問題が表面化する.あっという間に学校の複雑で速い流れについていけなくなり,授業中はますますうわの空となり,成績も低下する.今自分の周りで何が起こっているのかをその都度把握しておくことが困難になると徐々に意欲も低下し,もはや何から手をつければいいのかすら見失っていくのである.このように中学校,高校,大学にかけてのADHDの学業の問題は,学習内容の理解そのものよりも,情報管理とマネージメントの弱さにあると考えられる. したがって,支援の方向性としては,自らの弱点や失敗のパターンを正しく把握し,それらを補うためにどのように工夫すればよいのかを本人が意識できるようになるこ 3 学習面の課題と支援図1小学校までと中学校以降の環境の変化本人本人授業(全教科)宿題提出物持ち物友人関係クラブ宿題提出物持ち物生活習慣友人関係習い事担任教師母小学校まで学校家庭マネージメントマネージメント学校家庭授業×9教科宿題×9教科提出物・期限×9教科持ち物×9教科テスト範囲×9教科友人関係先輩後輩関係部活宿題×9教科提出物・期限×9教科持ち物×9教科生活習慣自宅学習友人関係部活塾の課題・テスト等セルフ・マネージメント中学校以降学校家庭
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