2256低形成・異形成腎を中心とした先天性腎尿路異常(CAKUT)の腎機能障害進行抑制のためのガイドライン
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Ⅱ 低形成・異形成腎8シン,非ステロイド性抗炎症薬,レニン・アンジオテンシン系抑制薬などの薬剤による胎児期曝露があげられ9),胎内感染症のほか,妊娠前の糖尿病でCAKUT発生率が高く7),妊娠初期に糖尿病にさらされることのリスクが報告されている11). CAKUTでは,腎尿路の発生過程に異常を生じた時期やその病因により,いくつかの腎形態異常を呈する. 以下に述べる低形成腎と異形成腎は,発生過程で生じる障害が異なる点で別個の疾患と理解されるが,確定診断には詳細な組織学的検討が必要で,臨床上は分ける意義に乏しい.したがって慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)診療においては,低形成腎と異形成腎は,明確に区別することなく低形成・異形成腎(renal hypodysplasia)として一括して扱われ, 腎外合併症や下部尿路異常とともに包括的に管理される.腎無形成(renal agenesis)a)定義 一側または両側の腎組織を認めない.b)病因 腎無形成は,胎生4週に生じる発生異常で,尿管芽の未発生や尿管原基が退縮することによって起こる.また,尿管芽が後腎間葉に侵入しないとネフロンの発生が誘導されず腎無形成となる.c)臨床像 一側腎無形成に関するシステマティックレビューは,1,000~2,000例に1例の頻度で発生し,男児に多いことを報告している12).対側の腎尿路異常を32%の症例に認め,膀胱尿管逆流が最多で24%の症例にみられること,腎障害として微小アルブミン尿を21%に,高血圧を16%に,推定糸球体濾過量(estimated glomerular ltration rate:eGFR)<60 mL/min/1.73㎡を10%に認める12).両側腎無形成では,Potter症候群を呈し肺低形成のため生存は極めて困難である. 同側の尿管は欠損しているか盲端を呈する.男児では精嚢腺嚢胞を伴うことが知られ,精巣,精管が欠損する例もある13).前述のシステマティックレビューは,子宮や腟の奇形の合併を11%と報告し12),腟欠損のため腟留血腫を呈する症例もある14).また,腎無形成を疑った場合は骨盤腎などの異所性腎を鑑別する必要がある.低形成腎a)定義 腎長径が年齢相当の-2SD未満の矮小腎.ネフロン数が明らかに少なく組織学的に腎皮質と髄質の構築は正常で異形成成分を含まない15).腎瘢痕など二次性の矮小腎とは区別される.低形成腎は,ネフロンの分布が正常な simple hypoplasiaと,腎葉の数が少なくネフロンの分布が疎で肥大した糸球体・尿細管肥大を認める寡巨大糸球体症(oligomeganephronia,oligomeganephronic-hypoplasia)に区分されるが16),両者を区別する臨床上の意義は乏しく,同一疾患の可能性もある.腎形成異常 412

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