2256低形成・異形成腎を中心とした先天性腎尿路異常(CAKUT)の腎機能障害進行抑制のためのガイドライン
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Ⅱ 低形成・異形成腎10組織学的には,多発性嚢胞の形成,primitive ductを取り巻く同心円状の線維化,軟骨や平滑筋の存在で診断される(図3).ネフロン数は少なく,胎児型の未熟糸球体や尿細管,分岐が少なく拡張した集合管を非特異的に認める16).c)臨床像 異形成腎は,矮小腎や,わずかな腎実質に多発性嚢胞を伴った腎形態異常に,しばしば尿路異常を合併して, 様々な腎尿路形態異常を呈する.腎臓超音波検査では, 腎辺縁が不整であること,腎実質が高輝度で皮髄境界が不明瞭なことを特徴的な所見とする. 特徴的な腎尿路形態異常を呈する異形成腎として,多嚢胞性異形成腎(multicystic dysplas-tic kidney:MCDK)があげられる.MCDKは,腎形成の早い時期に何らかの理由で尿路が完全にまたは部分的に閉塞して発症するものと考えられている.それ以前に形成されたネフロンから排泄される尿が早期からうっ滞して,尿管芽の分枝や伸長の障害を起こすとともに尿細管が拡張し腎全体が嚢胞形成を呈する.出産3,000例にほぼ1例の頻度で,男児に多く,その多くが一側性であるが両側性も約20%存在する.肉眼的に種々の大きさの嚢胞がみられるが腎実質はみられず無機能であることが多い(図4).自然退縮する傾向にあり,腎無形成と診断されることも少なくない.正常な腎盂は形成されず尿管も認められないか閉塞している.反対側の腎尿路異常を1/3に認め,膀胱尿管逆流が多い21).その他,水腎症,尿管瘤,低形成腎が認められる.反対側の腎が正常であれば羊水量も保たれ,生命予後は良好であるが,両側MCDKではPotter症候群を呈し生存は極めて困難である.renal tubular dysgenesis(RTD) RTDはしばしばCAKUT類縁の疾患と扱われているが,腎以外の尿路系の異常を伴わな4A:皮髄境界が不明で嚢胞様に拡張した尿細管と残存する糸球体(▶)を認める.B:軟骨形成を認める.C:primitive duct,一層の上皮細胞で構成される管腔周囲を同心円状に線維化組織が取り囲んでいる.異形成腎の組織所見図3ACB

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