2258これならわかる!小児科診療に活かせる遺伝学的検査・診断・遺伝カウンセリングの上手な進めかた
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16要 旨 遺伝学的検査には,他の臨床検査にない特徴がある.そのため,検査の実施においては,留意すべき諸課題がある.2011年に日本医学会では,「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」1)をまとめた.これは,すべての医療関係者が研究目的ではなく医療として遺伝学的検査を実施するときに留意すべき内容をガイドラインとしてまとめたものである.このガイドラインは,すべての医療関係者を対象とした総論的な内容となっている. 日本小児科学会では,2011年6月に遺伝学的検査検討ワーキンググループ(委員長:奥山虎之)を組織し,遺伝学的検査の実施において,小児期に特有な諸問題に対する留意点をQ and Aの形でまとめ,日本小児科学会ウェブサイトに掲載した2). 本稿では,日本医学会ガイドラインとそれを補完する日本小児科学会Q and Aの記載をもとに,小児科医が遺伝学的検査を実施する際に考慮すべき課題について詳述する.遺伝学的検査と遺伝子検査 はじめに用語について解説する.日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(2011年2月)1)によると,遺伝学的検査とは,ヒト生殖細胞系列における遺伝子変異もしくは染色体異常に関する検査およびそれに関連する諸検査(遺伝生化学的検査など)を意味している.例えば,遺伝子産物としての酵素活性低下を生化学的に検査し,先天代謝異常症の診断に用いる場合は,その検査は遺伝子の変異解析ではないが,遺伝学的検査と考える.すなわち,遺伝学的検査は遺伝性疾患を診断するために実施される検査の総称とすることができる.これに対して,遺伝子検査とは,上記の遺伝学的検査のほかに,感染症への罹患の有無などを目的として病原微生物の遺伝子を検査する“病原体遺伝子検査”やがん細胞における遺伝子変異を検出する目的で使用される“ヒト体細胞遺伝子検査”が含まれる. 遺伝学的検査と遺伝子検査は異なった概念であり,それぞれに共通部分と非共通部分があるので,用語は適切に分けて使用すべきである(図1).遺伝学的検査を実施する際の留意すべき課題 遺伝学的検査は臨床検査の1つである.しかし,一般の臨床検査にはない,以下のよう1遺伝学的検査を実施する際の留意点総 論❷遺伝学的検査における留意点
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