2260小児けいれん重積治療ガイドライン2017
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4定義と分類(denition & classication)定 義ILAE(International League Against Epilepsy)は過去の治験と近年の臨床場面での議論を踏まえ,2015年にstatus epilepticus (SE)の新たな定義を公表した1).SE is a condition resulting either from the failure of the mechanisms responsible for seizure termi-nation or from the initiation of mechanisms which lead to abnormally prolonged seizures (after time point t1). It is a condition that can have long-term consequences (after time point t2), includ-ing neuronal death, neuronal injury, and alteration of neuronal networks, depending on the type and duration of seizures1).てんかん重積状態は,発作停止機構の機能不全,または異常に遷延する発作(時点t1以降)を引き起こすような機構の発生によってもたらされる状態である.発作の型と持続時間に依存して,神経細胞死,損傷および神経回路網の異常を含む長期的な後遺症をきたす(時点t2以降).(本ガイドライン策定ワーキンググループ訳)従来,多くの定義は全身性けいれん発作を対象としていたが,新たな定義では意識障害を伴う焦点性SE(focal SE with impaired consciousness)と欠神発作SE(absence SE)を含めたものとなっている.発作持続時間に関する議論の要点は,①何分以上持続すると自然停止しがたくなるか(time point t1),②何分以上持続すると脳に長期的な影響を残すか(time point t2),である.強直間代発作SE(tonic-clonic SE)ではtime point t1を5分,time point t2を30分としている.SEの定義に関する議論は長い経緯がある.ILAE(1981)では「発作がある程度の長さ以上に続くか,または短い発作でも反復しその間意識の回復がないもの」と定義した2)が,発作の持続時間を明確に定義していなかった.その後,baboonを用いた,けいれん発作による神経障害が不可逆性に至る実験の結果を踏まえ,ILAE(1993)では「30分以上持続する発作,または反復する発作で30分以上にわたって発作間欠期に意識回復しないもの」と変更した3).疫学研究では30分とする定義が一般的である.しかし,近年,早期治療総論2解説

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