2261内分泌性高血圧診療マニュアル 改訂第2版
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93第2章 各 論――A 下垂体疾患●●●Ⅲ 臨床編――第2章 各 論の増加),③皮膚所見(皮膚の肥厚,発汗亢進,多毛,剛毛,色素沈着),がある. 身体的変化は緩徐に進行することから,本人,身近な家族が気づいていない場合も多いため,過去の写真と比較すると参考になる.検査所見 一般検査で,血清リン濃度上昇,尿糖陽性,空腹時血糖高値,ブドウ糖負荷試験で境界型または糖尿病型を示す.内分泌検査で,血中GHやIGF-Iの高値を認める.GH分泌の過剰は経口ブドウ糖負荷試験(oral glucose tolerance test:OGTT)で血中GHが抑制されない(底値>0.4 ng⊘mL).甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(thyrotropin-releasing hor-mone:TRH),ゴナドトロピン放出ホルモン(gonadotropin-releasing hormone:GnRH)やブロモクリプチン投与でGHの奇異性増加反応を示すことがある.画像検査 MRIで下垂体腺腫の存在を確認する.この際,鞍上部進展の程度,海綿静脈洞浸潤の有無をチェックする.腺腫は微小(<1 cm)のことも多く,dynamic MRIが診断に有用である.頭部単純X線でトルコ鞍拡大,double floorの所見がみられることがある.指末節骨X線像で花キャベツ様肥大,足底軟部組織の肥厚が認められる.先端巨大症の診断の手引きⅠ 主症候  1 )手足の容積の増大  2 ) 先端巨大症様顔貌(眉弓部の膨隆,鼻・口唇の肥大,下顎の突出など)  3 )巨大舌Ⅱ 検査所見 1 成長ホルモン(GH)分泌の過剰   血中GH値がブドウ糖75 g経口投与で正常域まで抑制されない 2 血中IGF-I(ソマトメジンC)の高値 3 CTまたはMRIで下垂体腺腫の所見を認めるⅢ 副症候  1 )発汗  2 )頭痛  3 )視野障害  4 )女性における月経異常  5 )睡眠時無呼吸症候群  6 )耐糖能異常  7 )高血圧  8 )咬合不全  9 )頭蓋骨および手足の単純X線の異常[診断の基準]確実例:Ⅰのいずれか,およびⅡをみたすもの疑い例:Ⅰのいずれかをみたし,かつⅢのうち2項目以上をみたすもの〔厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業間脳下垂体機能障害に関する調査研究班:平成24年度総括・分担研究報告書「先端巨大症および下垂体性巨人症の診断と治療の手引き(平成24年度改訂)」.2013〕1表先端巨大症手術ができない場合寛解,部分寛解コントロール良好寛解,部分寛解非寛解コントロール不良薬物療法(手術前薬物療法)手術定位放射線治療または 再手術先端巨大症治療の手順年齢,活動性,合併症の程度,腫瘍の大きさと位置,治療の持続性,費用対効果,副作用などを十分に考慮したうえで,個々の症例に応じた治療を選択する.〔厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業間脳下垂体機能障害に関する調査研究班:平成24年度総括・分担研究報告書「先端巨大症および下垂体性巨人症の診断と治療の手引き(平成24年度改訂)」.〕2図

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