2264症例から考える針筋電図
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58Ⅱ.基本症例編アンドロゲン受容体遺伝子検査PM458.0257.0298.0434.0267.0174.0N.C.(-)X染色体上のアンドロゲン受容体(AR)遺伝子のCAG反復配列を含む領域をPCRで増幅し,電気泳動したもの CAG反復配列57回以上(正常38回未満)と異常伸長を認める. P:患者検体,N.C.:陰性対照図4針筋電図と超音波検査 高周波プローブの普及により神経筋疾患に対する超音波検査が見直され,新たな評価法として急速に普及しつつある.絞扼性神経障害や脱髄性ニューロパチーにおける神経の肥厚,筋疾患における筋の萎縮や筋輝度の上昇,ALSにおける筋線維束性収縮の確認など,重要な知見が蓄積されてきた.一方で,針筋電図検査との関連では針電極刺入時のガイドとしての有用性が注目されている.超音波ガイド下穿刺については肝などの他臓器の穿刺治療,ボツリヌス毒素を用いた筋痙縮に対する治療時などで一般的であるが,近年の報告では診断に用いる針筋電図においても超音波ガイド下で行ったほうが安全で正確であるとされている.例えば経験が少ないとブラインドでは菱形筋や棘下筋の検査時に,表面を覆っている僧帽筋を間違って刺すことは珍しくなく,特に目的筋が萎縮しているときなどは判断が難しい.また大腿筋膜張筋(L5,S1支配)刺入時に大腿直筋(L3,L4支配)を間違って刺すとレベル診断を間違えることになる.Boonらの献体を用いた目的とする筋に正確に針が刺入できるかどうかを試した穿刺実験では,超音波ガイドなしでの正解率はレジデント50%,ベテラン83%であったのに対し,エコーガイド下ではいずれも96%であったという1).また安全性においても肋間筋や傍脊柱筋などの体幹筋の検査では気胸リスクはゼロとはいえず,前腕筋特に長母指屈筋などを穿刺する際に血管を避けることはガイドなしでは難しい.今後はカテーテル穿刺時などに際しては常識となった超音波ガイド下穿刺が針筋電図検査においてもリスク回避および正確性の担保のために必要となってくるかもしれない2).■文 献 1) Boon AJ, et al.:Accuracy of electromyography needle placement in cadavers: non-guided vs. ultrasound guided. Muscle Nerve, 2011;44:45-49.2) Boon AJ, et al.:Ultrasound Applications in Electrodiagnosis. PM R, 2012;4:37-49.6

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