2264症例から考える針筋電図
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12Ⅰ.総 論4) 陽性鋭波(positive sharp wave:PSW) 急峻な陽性の電位に続いて緩徐で持続の長い陰性電位がみられるもので,陰性相は陽性相より振幅が小さいが持続が長いため,全体で鋸の歯を思わせる波形となる.陽性鋭波は針電極の刺入に伴って起こることが多いが,自発放電もあり,ほぼ一定の間隔で規則的に放電する.陰性棘波が認められないのは,電極針が筋膜損傷部にあり,この位置では活動電位が停止するためと考えられている(図11).この電位は線維自発電位と同様,単一筋線維の自然放電に伴って認められ,その診断的意義もFibと同様である.➡症例15FibrillationpotentialとPSW(2)最も大きい高調なFib1とやや低い音のFib2,およびPSWが聴き取れる.いずれも規則正しい放電を示す.Fib2は次第に放電周期が早まっていくことがわかる.このように「規則的」とは,同じ周期,あるいはゆるかやに一定方向に放電周期が変化する状態をいい,これが形態とともにFib/PSWのもっとも重要な判別点である.W610ms100uVFibrillationpotentialとPSWFibrillationpotential(上段)もPSW(下段)も単一筋線維由来の自発放電という点では同じであるが,記録電極との関係で形態が変化する.針の先端による筋線維損傷部では活動電位が頓挫するために,記録部位より向こうへ伝搬しない.そのために陰性相が出現せず鋸波状となる(図2).図11損傷PSWFibrillationpotential

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