2264症例から考える針筋電図
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13針筋電図の基本Ⅰ総 論5) 線維束攣縮電位(fasciculation potential) 多くは神経末端の異常興奮で生じる異常放電で,運動単位電位に近似した形をとる(図12)(W7).皮下に近接した部分で生じると,筋収縮が肉眼でも認められる.放電パターンは通常Fibrillation potentialとPSWの臨床的重要性 Fib/PSWは脱神経電位とも呼ばれる場合があるが,これは正確な表現ではない.実際には運動ニューロン疾患や軸索障害,神経外傷などの神経原性疾患でも,筋炎,筋ジストロフィーのような筋原性の疾患でも出現する.外傷の場合だと神経と筋線維の接続が絶たれたのち1週間目以降に出現しはじめ,数カ月から1年の間出現する電位である.他の病態でもおそらく同様の時間経過であろうと推定される.したがってFib/PSWがあれば筋線維の変性が少し前に起こったか,あるいは現在進行形で生じていることを示し,その数が多いことは現在変性しつつある筋線維が多数あることを示している.したがって筋炎や運動ニューロン疾患では疾患の活動性の指標となる.過去の神経損傷で萎縮した筋ではFib/PSWは出現しない.また進行が緩やかな筋萎縮症ではミオパチーであれニューロパチーであれ,Fib/PSWを生じている筋線維数が少ないために,記録されることはまれである.逆にALSのように短期間に次々と変性が生じてくる病態の筋では常にFib/PSWが記録される.すなわちFib/PSWは変性の活動性,速さと関連している指標であり,また現在病気が進行性であるかの判断にも重要な指標である.筋電図の中ではもっとも役立つ所見であり,これを見落とす,あるいは終板棘波と誤認すること(経験の浅い人がもっともよくする間違い)のないようにしなければならない.ALSではこのような進行性変性が広汎に生じていることが特徴であり,かつ筋萎縮などの臨床徴候より先行して出現するために診断基準として用いられている.また筋炎の活動期や進行の早いミオパチーでもFib/PSWは記録できるため,診断や生検部位の判断,治療方針の決定に役立つ.1Fasciculaionpotential波形はMUPに似ているが,これは興奮部分から運動単位全体または一部に活動電位が拡がるためである.ただしALSのような疾患では神経末端の伝導や神経筋接合部での伝導が正常ではないことが多く,波形がそのたびに変化することが多い.放電パターンは不規則である.異常興奮が繰り返して周期的に生じた場合はミオキミア放電と呼ばれる.図12異常興奮部
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