2274補聴器のフィッティングと適用の考え方
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E-3外耳出血および外耳炎を起こさない耳型採型62 耳型採型において外耳出血および外耳炎が発症する理由を述べ注意点を記す.a|外耳出血発症の機序 外耳出血は骨部外耳道の皮膚を裂くことで発症する.印象剤が骨部外耳道に達していて,それが硬化すると,耳型抜去時に外耳道皮膚を裂いてしまう.骨部外耳道は薄く,直下は薄い骨であるので,硬化した耳型が圧を加えると皮膚が裂ける.このような場合には,痛みが起きるので耳型を動かせなくなり,結果的に抜去困難による耳内異物になることもある. 外耳出血を避けるためには,印象剤がブロックと外耳道の隙間に入らないように,完全に外耳道をブロックできる大きさのものを使うことで予防する.また,印象剤が完全に硬化する少し前に抜去することも有効である(図1).b|外耳炎発症の機序 外耳炎は,骨部外耳道にブロックによる圧迫が強く加わると発症する.ブロックが柔らかいスポンジ状のものであっても圧が加わった外耳道部は充血し,さらに圧が強ければ外耳炎になる.ブロックが綿球の場合は弾力が低いので,強く奥に入れれば外耳道に与える刺激は大きい. 外耳炎を避けるためには,ブロックの最大の部位が軟骨部外耳道に留まるようにして,骨部外耳道には強く触れない範囲に留めるほうがよい.耳型採型のブロックは骨部外耳道と軟骨部外耳道の境界に入れると表現されることが多いが,骨部外耳道を強く圧迫してはならない(図2). 印象剤注入時にブロックについた糸をしっかり把持して奥に移動しないように注意する.ブロックを正しい位置に置いても,印象剤注入時にブロックが奥に変位すれば,ブロックを奥に入れた場合と同じことになる(図3).c|耳 垢 鼓膜表面の耳垢と骨部外耳道の耳垢はその場所に留まらない.この部位の耳垢は,生理的に軟骨部外耳道の方向に移動して,軟骨部外耳道に貯留する.ただし,たまった耳垢の奥側は骨部外耳道にある. 奥から運ばれる耳垢が貯留する耳垢を外側に押し出すので,耳垢全体は外耳口側に移動する.日常生活では外耳口付近の耳垢を自身が除去すれば,耳垢栓塞を起こすことはない.しかし,もっとも奥は軟骨部外耳道と骨部外耳道の境界にある.耳垢を完全に除去するための耳垢除去では骨部外耳道に器具が触れる可能性があり,外耳炎の原因になるので,耳鼻咽喉科専門医が行うべきである.

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