2274補聴器のフィッティングと適用の考え方
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C-3気骨導差が大きい難聴者の聴力検査のマスキング40 良聴耳が気骨導差が大きい伝音難聴または混合性難聴である場合には,非良聴耳の正しい閾値を求めるためのマスキングは簡単ではない.特に,気骨導差が25dB以上の場合の骨導閾値測定では困難は増加する.補聴器との関係では,片耳装用にすれば良聴耳の閾値のみが重要であり,特に問題は起こらない. 良聴耳の気骨導差が25dB以上の場合には,プラトー法または類似した方法で非良聴耳の閾値測定を行う.しかし,プラトー法では良聴耳の気骨導差が40dB以上になると,測定値は求められない.a|良聴耳が伝音難聴または混合性難聴の場合の骨導測定のマスキング 良聴耳に気骨導差がある場合のマスキングでは,最初のマスキングのレベルを「良聴耳の骨導閾値+50dB」とする.そして,真の閾値を得られる範囲は「良聴耳の骨導閾値+50dB」の範囲よりも5dB狭くなる.真の閾値が得られない場合はマスキングのレベルを「50dB-良聴耳の気骨導差」の間隔で増加させる.このマスキングによって,新しく真の閾値を求められる範囲が「50dB-良聴耳の気骨導差」の範囲でレベルが高いほうに移動する. 得られた測定値が正しいかに疑問がある場合には,確認するためにマスキングのレベルを10dB変化させて測定値が変化しない場合に正しい測定値とする方法がある.なお,この確認法は良聴耳が感音難聴の場合は不要である.b|プラトー法 プラトー法とは,非検査耳に聞かせるマスキングの量について,ある大きさとそれよりも15dB大きいレベルで与えた場合に,検査耳の測定値が同じかまたは5dBの差であれば,その値を正しい測定値とする方法である.プラトー法の利点は,マスキング量と真の閾値が得られる範囲の関係を考えなくてもよいことで,良聴耳の気骨導差が25dBを越える場合に採用すると便利な方法である. ただし,図1に示すように,気骨導差が40dBになるとプラトーの幅は10dBとなり,プラトー法では正しい値が得られない場合が起こる. プラトー法についてはもっとも正しい検査法であるとか,もっとも基本の検査法であるという誤解がある.良聴耳が感音難聴であったり,良聴耳の気骨導差が小さい場合にプラトー法を用いるのは適切でなく,難聴者は疲労する.c|一側の聴力しか求められない例 良聴耳に50dBの最大の気骨導差がある場合には,反対側の非良聴耳が聾で

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