2275国立成育医療研究センター 基本から実践まで!! すぐに役立つ 医療保育実践マニュアル
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74②保育内容:患者と信頼関係を築き,患者が思いを表出できるような環境を設定します.患者とのかかわりのなかで患者自ら疾患や治療の話をした時には,思いを傾聴し,自分の気持ちを整理できるように働きかけます.また,様々なストレスを緩和できるよう,患者に寄り添い,病状に応じて気分転換を図ることができるよう,患者の好きな絵を描くことや塗り絵(図1)などの保育活動を設定します.(4)留意点・配慮点 クローン病は思春期に発病しやすく,思春期特有の心理的葛藤もあり,精神的にも不安定になりやすいため,治療や入院生活に対する支援が必要となります.治療管理を円滑に行うために,疾患自体だけではなく,心理社会的問題を含めた様々な問題に対し,患者にかかわる各職種(医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・臨床心理士・CLS・院内学級*の教師など)による多方面からの支援や予防的アプローチができるよう検討することが大変重要となります.安定期(3~4か月)2(1)患者(家族)の様子 病棟スタッフと信頼関係が構築され,自分の気持ちを徐々に表出するようになりました.入院期間も長期間になることが予想され,院内学級に通学するようになり,他患者との交流も増えました.病状としては,腸管の機能が回復し食事が開始されました.しかし,脂肪や繊維の少ない制限食のため,好きなものを食べられないことや他患者と食事内容が異なることに対してストレスを抱いており,「みんなと同じものが食べたい」などの発言が聞かれます.また,栄養療法として経腸栄養剤MEMO*当センターの院内学級について長期間入院中の患者も院内学級に登校することで,治療を受けながら学習をすることができます.院内学級に登校して教育を受けることが難しい場合には,病棟に教師が訪問してベッドサイドで授業を行うこともあります.院内学級の教師とは,授業や院内学級での患者の様子を聞いたり,保育士から入院生活中の患者の様子について伝えたりして,患者の情報を共有しています.塗り絵図1B章 保育の実践
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