2275国立成育医療研究センター 基本から実践まで!! すぐに役立つ 医療保育実践マニュアル
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2 当センターでは何らかの疾病により,生活および活動に制限のある子どもを保育の対象として,医療と保育が一体となり,成長・発達過程にある子どもを援助・育成しています.このことは医療保育の特性とも言えます.このような保育を治療にかかわる様々な医療スタッフと連携を図りながら,保育士も医療チームの一員として実践していく必要があります. そこで,当センターでは入院による子どもおよび家族の身体的・心理的変化を全体的に捉え,入院患者のQOLの向上と社会復帰を目指し,その際の保育士としての視点を5つ設けて「保育目標」としています. 具体的にはまず安全に過ごせる環境を整えて入院生活への適応ができるよう,生活の支援を行います.そのなかで,保育士との信頼関係を築き,患者(子ども)にとって生活の中心である遊びと学習の援助を行い,情緒の安定した生活が送れるよう配慮します.そして,集団活動や様々な体験を提供し,発達を促します.さらにこれらの過程を家族とともに送れるよう家族を援助します.この一連の流れを通しQOLの向上という目的に向かって保育を行うことが保育士の大きな役割といえます(図1). また,保育をする際には個々の保育目標をもとに「保育のねらい」,「患者目標」に分けて考え,個々のニーズに応じた保育を行っています(表1).MEMO当センターの保育支援とは,医療を要する子どもと家族に対して行われる保育士による「養護と教育」ではなく,「養護と援助」として,保育支援を行っています.A章 保育の基本Ⅰ保育のねらいと役割図1 当センターにおける保育士の役割上の図は当センターの保育士の役割を図式化したものです.I~Vが患者に対する視点で,同時に保育士の役割と考えています.医療と保育の一体化QOLの向上  IV.遊びと学習の援助III.心身の発達と安定  V.家族への援助I.生活の保障II.生活環境を整える保育士の役割養護援助

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