2275国立成育医療研究センター 基本から実践まで!! すぐに役立つ 医療保育実践マニュアル
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59Ⅰ.保育記録マニュアルA 保育の基本B 保育の実践C 多職種連携と医療現場における保育士教育す.患者・家族にレッテルを貼ることや態度・性格などについて否定的な内容は記載しません.「〜と思われる」「〜のようにみえる」といった,主観的な表現ではなく,客観的な表現で記載します.病状や診断・治療など,医療や看護など,保育以外の領域に踏み込んだ内容の記載をしないよう,留意します.保育活動中にインシデントまたはアクシデントが発生した場合は,状況を時系列に記載します.保育士としての視点で記載するポイント3保育活動中に患者の状態に変化があった場合や,医師・看護師に対応を依頼した場面があった場合は,その時の患者・家族の言動や様子,保育士が対応した内容などを記載します.患者の表情や言動は,保育士が病状や障がいの特性を把握したうえで観察した,患者の状態や訴えなどを必要に応じて記載します.  例:「笑った時や立ち上がる際などに腹部に力を入れると創部の痛みを訴えた」    「痰がからんだ咳をすることが数回あった」    「保育士が手のひらを触ると,身体に力が入る」    「遊びに集中している時は,悪心の訴えはなかった」など先天性疾患や慢性疾患のある患者,繰り返し入院している患者,今後も通院や入院予定のある患者の記録は,経過や発達過程の情報がその後の支援につながることもあるため,患者や家族の言動や様子,発達段階などがわかる記載を心がけます.多職種がかかわっている患者の場合は,患者の言動や様子を共有し,各職種が支援する際の情報となるよう,内容を意識して記載します.虐待などの症例にかかわる記載をするとき 当センターでは,不適切な養育を疑われて入院する患者もいます.保育士は遊びや日常生活でかかわることが多いため,面会に来た家族との関係や遊び方,他患者・家族とのかかわり方,会話のやりとりなどから様々な情報を得ることがあります.また,保育記録に記載された内容が患者にかかわる専門職の治療計画に活かされることもあります.column 当センターで作成した2つの保育記録のテンプレート(保育計画記録・保育参加記録の書式)があり,さらに乳幼児用と学童・思春期用のテンプレートを選択して記録を行います. 「保育計画記録」(p.64参照)は,保育士の意図的なねらいがあり,継続したかかわりが必要である場合や担当看護師と相談のもと,患者(家族)の目指す状態(患者目標)が明確な場合に,このテン保育記録の体系2

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