2279内科医のための抗不安薬・抗うつ薬の使い方
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くの受容体に親和性をもち,多元受容体作用抗精神病薬(multi-acting receptor targeted antipsychotics:MARTA)とよばれる.食欲増進,体重増加,インスリン抵抗性増大,脂質代謝異常をきたし,メタボリック症候群のリスクが高くなる.糖尿病と既往患者には禁忌である.双極性障害における躁症状およびうつ症状への適応をもつ.気分安定薬単剤よりも本剤との併用で有意な改善が報告されている.うつ症状の治療中に躁症状を呈する躁転や,躁症状の治療中にうつ症状を呈するうつ転は少ない.米国ではオランザピンとSSRIのフルオキセチンの合剤が,うつ病治療に用いられている.(図2) クエチアピンは米国で双極性障害の適応がある クエチアピンは低力価の非定型抗精神病薬MARTAで,食欲増進,体重増加,インスリン抵抗性増大,脂質代謝異常をきたし,メタボリック症候群のリスクが高くなる.糖尿病と既往患者には禁忌である.少量を用いるとヒスタミンH1受容体遮断作用が強調され,半減期が2~3時間と短いため,睡眠改善作用を期待して就寝前に用いられる.日本の適応は統合失調症のみであるが,中等量を用いると抗うつ効果を示すため公知申請の動きがある.第Ⅱ章 抗不安薬・抗うつ薬各論―E 主に躁うつ病に用いる薬物E 主に躁うつ病に用いる薬物138図2オランザピンとクエチアピンの受容体結合特性5-HT2A5-HT2B,2C,6α1,2CD1,3,4D25-HT2A5-HT1A5-HT1D~2CM1~4M1~4H1H1α1,2D1,3D2NET5-HT6,7クエチアピンオランザピン◇主訴・経過 双極性障害の芸術家.食事をとらないことが多く,1日に少なくとも6杯はエスプレッソを飲み,タバコも2箱吸うという生活を送っている.ラモトリギン200mg/日で維持されていたが,最近は感情がひどく高ぶり,芸術活動をうまくまとめられなくなっている.そこで,オランザピン10mg/日が追加投与されたが,2週間たっても症状が改善されなかったため,20mg/日に増量された.◇コメント 喫煙はCYP1A2を誘導し,オランザピンは1A2で代謝されるため,ヘビースモーカーはオランザピンの血中濃度が低下する.● ● ●20歳代,男性

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