2283女性内分泌クリニカルクエスチョン90
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52 Chapter 4 PCOS挙児希望のあるPCOSはどのように治療する?22第一選択薬はクロミッドⓇである.クロミッドⓇ抵抗性で肥満・インスリン抵抗性がある場合はメトホルミンを併用してもよい.セカンドラインの治療としては,ゴナドトロピン療法,卵巣多孔術(LOD)がある.PCOSの排卵誘発に際しては,多胎妊娠と卵巣過剰刺激症候群の予防のため,卵胞モニタリングが必須である.上記治療が奏功しない場合には,生殖補助医療の適応となる.クロミフェンクエン酸塩(クロミッド®) わが国における多囊胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome:PCOS)の新治療指針において,挙児希望のある場合の第一選択薬剤になっている(Q21図1参照)1).肥満症例においては,減量が排卵誘発に対する反応性を改善すると報告されていることから,あわせて減量指導も行う.クロミフェンは,抗エストロゲン作用により視床下部‐下垂体に作用し卵胞刺激ホルモン(follicle-stimulating hormone:FSH)の分泌を促進する作用がある.PCOS患者に対する第一選択薬剤として使用した場合,プラセボと比較して妊娠率の増加(1~5周期の治療でodds ratio 5.8)がメタアナリシスで確認されている2).治療にあたっては,多胎妊娠と卵巣過剰刺激症候群の発生に注意し卵胞発育をモニタリングする.初期投与量は1日50 mgとし5日間投与する.1~2周期の治療で反応がみられない場合は,1日100 mgに増量する.肥満症例等に対し,150 mg以上の投与量が有効であるとする報告もあるが,わが国では添付文書上は上限1日100 mgとなっている(処方例①).6か月間の治療による排卵率,妊娠率,生産率はそれぞれ73%,36%,29%と報告されている3).反応がみられない場合は,3周期をめどにクロミフェン抵抗性と診断し次のステップに移行する.反応がみられるが妊娠が成立しない場合は6周期をめどにするが,他の不妊因子や患者年齢によっては,ステップアップを早めることもある(クロミフェンによる治療の詳細はQ28参照のこと).メトホルミン塩酸塩(メトグルコ®) ビグアナイド系の経口血糖降下薬であるメトホルミンの作用機序は肝臓での糖新生の抑制と肝臓および骨格筋でのインスリン感受性の増強であり,2型糖尿病の経口治療薬であるがPCOSや排卵誘発での保険適用はない.挙児希望という点で,クロミフェンと比較したメトホルミン単独投与の優位性は示されておらず,クロミフェン投与時の卵胞モニタリングのための通院が困難な症例,自然妊娠を強く望む症例に限定的に使用すべきである.すなわちメトホルミンはクロミフェン抵抗性を有する症例に対するセカンドライン治療としての併用薬としての位置づけになる1).2012年のCochraneのシステマティックレビューでは,クロミフェン+メトホルミン併用群とクロミフェン単独群を比較し,併用群において臨床妊娠率は有意に増加(odds ratio 1.51)したが生産率は同等であったと結論づけている4).さらに2014年のメタアナリシスでは,ゴナドトロピン製剤との併用においても,妊娠率,生産率の有意な改善をみとめたとする報告がなされている5).メトホルミンはインスリン抵抗性がない症
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