2283女性内分泌クリニカルクエスチョン90
6/10

72 Chapter 5 排卵障害hMGとリコンビナントFSHはどのように使い分ける?30hMG製剤(hMG/uFSH/FSH-HP)とFSH製剤,およびrFSH製剤は,ほぼ同程度の排卵誘発効果を示す.このうちrFSH製剤の特徴として,ロット間のばらつきが少なく,アレルギー反応が少なく,また自己注射が可能という利点がある.ただし現状において,他剤と比べ高価格という問題点がある.このような特徴も考慮しながら,内因性のLHが上昇しているPCOS女性にはrFSH製剤,あるいはLH含有量の少ないFSH-HP製剤を投与し,一方LH低値を示す症例ではhMG製剤を選択する. ゴナドトロピン(Gn)療法として用いられている注射剤は,FSH/LH比によりヒト閉経後尿性ゴナドトロピン(human menopausal gonadotropin:hMG)製剤と卵胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone:FSH)製剤に大別される.現在わが国で使用可能なhMG/FSH製剤を表1に示す. hMG製剤はLunenfeldらが1960年に,閉経後女性尿からhMGを精製して排卵誘発剤として投与して以来,尿由来hMG(urinary hMG:uhMG)製剤が使用されてきた.日本薬剤局外基準によれば,hMG製剤として認められる製品のFSH/LH含有比は1:≦10である. 1990年代初頭に入り,hMG製剤から特異的にLH成分を除去した精製FSH製剤 (FSH-highly purified:FSH-HP)が発売され,FSH:LH=1:≦0.0053と決められている.LH成分の多いhMG製剤と同程度の排卵誘発効果を示し,LH含有量が少ないことで,卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimulation syndrome:OHSS)などの副作用の軽減が期待された. 1992年には遺伝子組換え技術を利用し,遺伝子組換えFSH(recombinant FSH:rFSH)製剤が開発された.rFSH製剤はFSH-HP製剤と比べ,単位あたりのFSH活性が高い.その理由としてrFSH製剤は生殖年齢女性の下垂体FSHと同様,塩基性側のイソホルモンを多く含表1現在わが国で使用可能なhMG/FSH製剤製剤名単位会社名製剤*FSH/LHフォリスチムⓇ注カートリッジ300,600,900MSDrFSH1/0フォリスチムⓇ注50,75,150MSDrFSH1/0ゴナールエフⓇ皮下注ペン300,450,900メルクセローノrFSH1/0ゴナールエフⓇ皮下注用75,150メルークセローノrFSH1/0ゴナピュールⓇ注用75,150あすか製薬uFSH1/0.000023フォリルモンⓇP注75,150富士製薬uFSH1/0.00027HMG注テイゾーⓇ75,150あすか製薬uhMG1:1HMG筋注用「F」Ⓡ75,150富士製薬uhMG1:0.33HMG注射用「フェリング」Ⓡ75,150フェリング・ファーマuhMG1:1*rFSH:遺伝子組み換え型FSH,uFSH:尿由来FSH,uhMG:尿由来hMG

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る