2283女性内分泌クリニカルクエスチョン90
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Q30 hMGとリコンビナントFSHはどのように使い分ける? 735排卵障害むことや,ロット間のばらつきが少ないことが考えられている1).またアレルギー反応が少なく,自己注射が可能であり,コンプライアンスが向上した.ただし現状において,他剤と比べ高価格という問題点がある(表2). hMG/uFSH/FSH-HP製剤とrFSH製剤の比較に関しては,rFSH製剤の有用性を報告する論文もあるが,国内のrFSH製剤臨床試験成績によると,WHOグループIIに分類される不妊症例で排卵誘発を行った結果,低用量rFSH療法は従来のuFSH 75単位投与と比較して,排卵率,単一卵胞発育率は同等であることが示されている2).したがって両製剤の特徴も考慮しながら,内因性のLHが上昇している多囊胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome:PCOS)女性にはrFSH製剤,あるいはLH含有量の少ないFSH-HP製剤を,一方LH低値を示す症例ではhMG製剤を選択する. 生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)においても,rFSH製剤と尿由来のhMG/uFSH/FSH-HP製剤の有用性を比較したレビュー3)によると,生産率・OHSS発症率とも両者に有意差を認めなかったと報告している. なおすでに海外ではFSHβサブユニットのC末端にhCGβサブユニットのC末端を融合して開発されたrFSH-CTP(FSH carboxy-terminal peptide:Corifollitropin alfa)製剤がARTで臨床応用されているが,半減期が長く投与回数が減少できるという特徴を有し,コンプライアンスがさらに向上している.いずれわが国でも投与可能になることが期待されている4).文献 1) 辰巳賢一:産と婦 2012;79:859-863. 2) 小川 晃,他:日薬理誌 2008;131:139-148. 3) van Wely M,et al:Cochrane Database Syst Rev 2011;CD005354. 4) 千石一雄:不妊・不育診療指針.柴原浩章(編著).中外医学社,2016;pp253-256.(柴原浩章)表2hMG製剤とrFSH製剤の比較hMG製剤rFSH製剤由来閉経後女性尿チャイニーズハムスター卵巣細胞感染のリスクありえる(ただし報告はない)ない局所的アレルギー反応ありえる可能性は低いロット間のばらつきありえるほとんどない安定した供給原料入手困難による停止はありえる可能生物活性あたりの価格安価hMG製剤の数倍
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