2284知的障害・発達障害のある子どもへのコミュニケーション支援
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第1部 話すときの注意ポイント121)2種類のメモリ ワーキングメモリにはおもに二種類がある.一つは言語性ワーキングメモリである.ことばを聞いて,それで記憶する.もう一つは視空間性ワーキングメモリである.ジェスチャー,絵や写真,文字など,目に入る刺激を記憶する.2)視覚優位の子ども 知的障害・発達障害のある子どもだが,視覚優位の子が多いとされる.ことばをヒアリングするよりも,絵や文字などの視覚情報のほうが理解しやすい.このために,ことばだけで説明するのではなく,ジェスチャーや,絵や写真,文字を使うことが勧められている.また,ただ聞くだけではなく,文字に残して記憶するなども理解を促すとされる.3)復唱させる 言語性ワーキングメモリだが,話したあとに復唱させるのも記憶の面で効果があるとされる.例えば,「本を持ってきて」と子どもに話したあとに,「何を持ってくるのかな?」と質問する.「本」ということばを子どもに言わせることで,聞き取ったことの確認と,記憶の増強が可能となる.4)指を使って順序を示す 「一番目にA,二番目にB,三番目にCをします」というだけだと,言語性ワーキングメモリにのみ働きかけたことになる.ヒアリング能力に問題がある子の場合には,耳を素通りすることになりかねない.ここで指を一本立てながら,「一番目はA」と話せば,指によって視空間性ワーキングメモリに働きかけることになる.このほうが理解しやすい子が多い.耳と目の両方に刺激を入れるよう配慮したい.1)場面依存性の言語理解 大人が一方的に指示を出すだけだと,子どもが本当に理解しているかどうかはわかりにくい.例えば「手を洗いなさい」と言われ,手を洗う子がいたとする.その子に「汚れていない.手は洗わない」とことばかけをしたときに,手を洗えば意味を正確に理解しているとはいえない.言われて繰り返しやっていれば,ことばの意味よりも,音の合図のようになり子どもが動いてしまう.こういったことばの段階を,「場面依存性の言語理解段階」と表現したりする.耳と目に刺激を入れる必要な「わかったかどうか」の確認りんご
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