2287骨関節画像診断入門 第4版
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ち軟骨基質内変性の場合は関節鏡検査の適応はない)。Grade3だけが半月板断裂である(図9-4)。半月板内の高信号が関節の上面あるいは下面に達しているときに,半月板断裂と診断される(図9-4参照)。半月板断裂と診断するには,高信号が関節面に達していることを確認しなければならない。半月板内の高信号が関節面付近に認められる場合,しばしば,高信号が関節面に達していると過大評価をしがちである。日頃レジデントたちと接する機会の多い著者の経験からだけでなく,膝関節のMRの正診率について言及した論文でも,偽陰性よりも偽陽性の方が多いと述べられていることから,このことは明らかである。偽陽性を避けるひとつの方法は,関節の表面の辺縁だけを残して,紙や親指などで半月板を隠して見ることである。このようにして半月板の関節面が中断されず直線状に見えた場合は,半月板断裂は存在しない。関節面の辺縁が中断しているならば,半月板断裂と診断してよい。半月板断裂はいろいろな像を呈するが,内側半月板の後角下面から斜めに走るものが最も多い。比較的頻度は少ない(約10%)が,半月板内の高信号が関節面に達しているか否かの判断に苦しむ症例もある。その場合には,異常な高信号が断裂であるか否かはっきりしないことを整形外科医に報告すればよい。整形外科医は臨床的な専門知識に基づいて関節鏡検査が必要かどうか決定するだろう。DeSmetらは矢状断像の1スライスでのみ半月板の断裂が疑われる場合,断裂は定かではないと診断すべきとしている5。1スライスでのみ見えた異常信号を断裂と判断した場合,内側半月板の56%,外側半月板の30%にしか真の断裂はなく,これを省くことによって半月板断裂の診断能は飛躍的に上昇したと報告している。よく見られる半月板断裂としてバケツ柄状断裂(buckethandletear)が挙げられるが,これはしばしば見逃される病変のひとつである。これは半月板の前後方向に縦断裂を生じ,断裂片が顆間窩内に変位したものである(図9-5)。矢状断像にて,半月板体部の蝶ネクタイ(“bowtie”)様に見える部分が1スライスしかない場合,本症と診断できる(図9-6)。これに対し,正常者の矢状断像では,半月板の幅は10~12mm,MRのスライス厚は4~5mmであることから,隣接する2スライスにわたって半月板が蝶ネクタイ様に認められる。冠状断像では半月板は切断されて短小化して見えるはずであるが,時間がたてば半月板に荷重がかかって変形するため,実際には切断部がわからなくなってしまうことが多い(図9-7)。矢状断像や冠状断像では断裂片(“バケツ柄”)が顆間窩側に見られる(図9-8)。矢状断像にて半月板体部の蝶ネクタイ様に見える部分が1スライスしか認められない場合は,放射状断裂(radialtear)またはオウムのくちばし状断裂(parrotbeaktear)も考える必要がある。これは半月板の自由縁の断裂であり,よく見られる断裂である(図9-9)。矢状断像にて半月板の蝶ネクタイ様の部分が1スライスしか見えず,さらに隣接する矢状断面で小さな裂隙が見られる場合に本症が疑われる(バケツ柄状断裂では大きな裂隙が認められる)(図9-10)。本症では,前角あるいは後角の三角形の頂部はしばしば鈍化する。蝶ネクタイサイン(“bowtiesign”)すなわち,正常者では半月板が隣接する2つの矢状断面において蝶ネクタイ様に見えるというサインは,膝関節9.膝関節のMR176図9-4半月板断裂.脂肪抑制T1強調矢状断像にて,半月板後角に見られる線状の高信号は関節下面に達しており,半月板断裂の所見である.

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