2287骨関節画像診断入門 第4版
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破壊性に見えたり,部分的に透過性に見えたり,その他,斑状,硬化性,膨張性,多発性など種々の所見を呈する。したがって,泡状の溶骨性の病変を見たとき,それが線維性骨異形成症かどうかを判断するのは難しい。こういう場合,放射線科のレジデントは「おそらく線維性骨異形成症だと思いますが,断定はできません」とよく言う。このレジデントは診断に自信がなく,全部の鑑別診断を洩らしてはいけないと思っている。こういうときは,巨細胞腫と軟骨芽細胞腫といった診断基準のはっきりしたものから鑑別診断を考えた方がよい。そうすれば自信をもって診断することができよう。それでは,さまざまな疾患に似通って見える病変に対して,線維性骨異形成症を鑑別診断に挙げたり除外したりするには,どうすればいいのか?これは経験に頼らざるを得ない。ともかく何冊かの教科書を使って,できるだけたくさんの症例にあたることだ。そうすれば,線維性骨異形成症がどのようなX線像を呈するかがわかってくるだろう。ここでも何例か(図2-1〜2-6)呈示するが,別の教科書でも症例をたくさん見てほしい。その時間は決して無駄にはならない。線維性骨異形成症で骨膜反応を伴うことはない。したがって,もし骨膜反応があれば確実に線維性骨異形成症を除外できる。線維性骨異形成症に併発した病的骨折により骨膜反応を伴う可能性はあるが,実際には著者は経験したことがない。線維性骨異形成症は悪性転化することはなく,骨折がない限り痛みを伴うこともない。線維性骨異形成症は単骨性のことも多骨性のこともあり(単骨性が一般的だが),骨盤,大腿骨近位部,肋骨,頭蓋骨に好発する。骨盤に病変があれば同側の大腿骨近位部にも病変があることが多い(図2-3,2-4)。著者の経験では,骨盤に病変があるのに大腿骨近位部に病変がない症例は1例しかない。逆に大腿骨近位部に病変があって骨盤に病変のないことはしばしばある(図2-5,2-6)。線維性骨異形成症はスリガラス状,煙状の基質をもつと従来から記載されている。この記載は読112.良性溶骨性病変図2-1線維性骨異形成症.患者は小児で,部分的に硬化像を伴う膨張性溶骨性病変が橈骨遠位側半分に認められる.長幹骨に存在する細長い病変は線維性骨異形成症に特徴的である.病変の一部はスリガラス状であるが,大部分は嚢胞状である.膨張性発育と骨変形は線維性骨異形成症によくみられる所見である.図2-2線維性骨異形成症.この症例のように,肋骨は線維性骨異形成症の好発部位である.肋骨の後方部分が侵されるとしばしば溶骨性で膨張性となるのに対し,肋骨の前方部分が侵されると硬化性病変となることが多い.

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