2290新 小児てんかん診療マニュアル
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 特異体質性による副作用と考えられる.医薬品・医療機器等安全性情報No.290(2012年4月)によると,重症薬疹は約2年半で1,505例(この期間に報告された全副作用報告数82,261例の1.8%)の報告があり,そのうち抗てんかん薬が257例を占め,ラモトリギン(LTG)101例,カルバマゼピン(CBZ)86例で,抗てんかん薬は重症薬疹が多い薬剤である.重症薬疹報告例の予後は未回復が48例(3.2%),後遺症ありが31例(2.1%),死亡が131例(8.7%),転帰不明などが438例(29.1%)と重症薬疹の予後は不良である.抗てんかん薬治療では重症薬疹に注意した薬剤選択,開始量,増量計画が必要である7). 重症薬疹のてんかん症例における発症率は,新規抗てんかん薬発売前(2006年)の当センターの21,655例の調査ではSJS/TENが0.097%(21例)であったが8),2008年にLTGが発売された後はさらに高まったと推定している.薬剤別にみると,重症薬疹が起こりやすいと思われる薬剤にはLTG,フェニトイン(PHT),CBZがある(表2).LTGの重症薬疹発症率は日本人で0.5%(LTGインタビューフォーム),英国では0.04%(8/18,112人)とされ9),日本人でかなり頻度が高く,体質が発症に関与していると思われる.またLTGの重症薬疹は小児に高用量で投与した場合に起こりやすいので,小児例ではさらなる注意が必要である. 重症薬疹(SJS/TENなど)の発症に遺伝的素因であるHLAが関与していることが最近明らかになっており,CBZでは,漢民族などのHLA B*15:02,日本人のHLA B*59:01,HLA B*15:11,HLA A*31:01が報告されている7).中国漢民族ではHLA B*15:02をもつ人が多くCBZによる薬疹が起こりやすいので,日本在住の中国漢民族にはCBZを第一選択としないほうがよい.LTG薬 疹2商品名副作用頻度*1重症薬疹の頻度皮膚副作用頻度DI *1Frey *2DI *1Arif *3LTGラミクタール55.2%SJS=0.5%0.04%5%以上:発疹4.8%: rashPHTアレビアチン,他未調査不明0.05%頻度不明:猩紅熱様・麻疹様・ 中毒疹様発疹5.9%: rashCBZテグレトール,他38.1%不明0.02%頻度不明:痤瘡,多形結節性紅斑,他3.7%: rashVPAデパケン,セレニカ,他14.5%未記載5%未満:発疹0.7%: rashLEVイーケプラ54.9%不明3%以上:湿疹,発疹,痤瘡0.6%: rashGABガバペン20.2%不明3%未満:発疹,湿疹0.3%: rashTPMトピナ75.2%未記載5%未満:発疹,他CLBマイスタン48.9%不明5%未満:発疹CZPリボトリール,他27.3%不明5%未満:発疹ZNSエクセグラン24.7%不明0.1%未満:多形紅斑LCMビムパット59.4%不明1%未満:発疹,蕁麻疹STPディアコミット91.7%不明頻度不明:発疹,蕁麻疹,他PBフェノバール,他未調査不明RFNイノベロン70.7%不明PERフィコンパ72.4%未記載LTG:ラモトリギン,PHT:フェニトイン,CBZ:カルバマゼピン,VPA:バルプロ酸ナトリウム,LEV:レベチラセタム,GBP:ガバペンチン,TPM:トピラマート,CLB:クロバザム,CZP:クロナゼパム,ZNS:ゾニサミド,LCM:ラコサミド,STP:スチリペントール,PB:フェノバルビタール,RFN:ルフィナミド,PER:ペランパネル.副作用頻度,すべての副作用を合わせた頻度:*1 DI:医薬品インタビューフォーム(http://www.info.pmda.go.jp/info/ippan_index.html);*2 Frey N, et al.: Epilepsia 2017; 58: 2178–2185.;*3 Arif H, et al.: Neurology 2007; 68: 1701-1709.(高橋幸利,他:第一選択薬に過敏症あり! そのとき薬物治療をどう行うか? 抗てんかん薬.薬局 2018;69:484-488)表2 抗てんかん薬の皮膚副作用頻度108第1部 総論

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