2290新 小児てんかん診療マニュアル
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小児適応症 適応症はDravet症候群のみである.CLBおよびバルプロ酸ナトリウム(VPA)で十分な効果が認められないDravet 症候群患者における間代発作,または強直間代発作に対するCLBおよびVPAとの併用療法として適応が承認されている.VPAおよびCLB以外の薬剤が併用されていてもよいが,STPの薬物相互作用は強いので,なるべく併用薬を少なくしてからSTPを開始したほうがよい.小児投与量 通常,1 歳以上の患者には1 日20 mg / kg から開始し,1 日2~3 回に分割して食事中または食直後に経口投与するとされているが,さらに少量からの開始が禁じられているわけではないので,多剤併用例や幼少例では1日10 mg / kg以下の開始量も検討する.開始後,1 週間以上の間隔をあけ10 mg / kg ずつ増量,1日最大量としては1 日50 mg / kg または2,500 mgのいずれか低いほうを超えない量とされているが,発作が抑制できれば最大量以下の投与量でよい.小児有効性データ SFRはChironらの初報では43%と高率であったが,わが国では10%前後,RRは60%程度と思われる(表)1).最近のChironらの報告ではDravet症候群54例の96%がSTPを内服し,96%は発作が抑制されていないが,発作頻度や属性に改善がみられているという6).禁 忌 STPあるいはデキストリン,デンプングリコール酸ナトリウムなどの添加物に過敏性のある症例.併用注意が必要な薬剤 STPは血漿蛋白結合率が99%と極めて高いので,血漿遊離STPの濃度は血清アルブミン濃度の影響を受けやすく,ペランパネル,VPA,CLBといったやはり血漿蛋白結合率が高い薬剤と相互作用が起こりやすい7).STPの血漿濃度の測定は検査会社で可能なので,濃度を参考に薬物調整するとよい.また,STPが抑制するCYP3A4,CYP2C19やCYP2D6で代謝される抗てんかん薬の濃度が上昇する可能性があり,CBZ,PHT,ゾニサミド(ZNS),エトスクシミド(ESM),クロナゼパム(CZP),CLBなどの抗てんかん薬の濃度上昇に注意をする.併用上の注意点・副作用 STPによるCYPの抑制で,CLBやdesmethyl CLBの濃度上昇が起こるので,CLBの副作用である眠気,低緊張,いらいら感が出現した場合はCLBの投与量を減量することも検討する.STPによるVPA代謝対 象群SFRRR文 献Dravet 症候群STP9 / 21(43%)15 / 21(71%)Chiron C, et al.: Lancet 2000; 356: 1638-1642.placebo0 / 20(0%)1 / 20(5%)Dravet 症候群STP(early)2 / 23(9%)14 / 23(61%)Inoue Y et al.: Epilepsia 2009; 50: 2362-2368.STP(late)1 / 23(4%)11 / 23(48%)部分てんかんSTP32 / 67(48%)Chiron C, et all.: J Child Neurol 2006; 21: 496-502.Dravet 症候群STP4 / 24(17%)*16 / 24(66.7%)Inoue Y, et al.: Epilepsy Res. 2014; 108: 725-731.SFR; seizure free rate, RR, responder rate*for clonic or tonic-clonic seizures表 STPの効果156第1部 総論

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