2291最新NICUマニュアル 改訂第6版
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23B超低出生体重児(ELBWI)の急性期の管理 ELBWIの急性期管理では,呼吸,循環,栄養などにおいて丁寧かつ慎重な管理を要する. 出生時蘇生の準備から,出生後の時間で変化する診るべき循環管理のポイント,水分・栄養管理の進め方などを示した.後述の各管理方法を参考にしてもらいたい.1.超低出生体重児(ELBWI)の管理の実際1 出生前情報 超低出生体重児(extremely low birth weight infant:ELBWI)の適切な管理のためには胎児情報,産科情報は不可欠である. (a) 胎児情報 ・在胎週数,推定体重. ・奇形の有無. ・羊水過少,羊水過多の有無. ・ノンストレステスト(nonstress test:NST)所見. ・多胎の場合は,膜性診断. (b) 母体情報 ・妊娠高血圧症候群,破水,感染の有無. ・母体基礎疾患の有無. ・子宮収縮抑制薬の投与の有無とその種類. ・ステロイド投与の有無.母体ステロイド投与 NOTE ステロイドが胎児肺におけるサーファクタント産生促進だけでなく,胎児の各種臓器の成熟を促す効果が示されている.34週未満で1週間以内に分娩が予想される場合にベタメタゾン(リンデロン®)12 mgを24時間ごとに計2回,筋注する.これにより胎児・新生児死亡率が有意に減少し,IVH,新生児呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome:RDS),壊死性腸炎(necrotizing enterocolitis:NEC)の発症を減少させる1).計2回の投与で1週間有効とされ,原則反復投与は行わない2). わが国の新生児臨床試験ネットワーク(Neonatal Research Network:NRN)でのデータを解析した研究では,母体ステロイド投与が22~23週の死亡危険度や24~25週のIVH,重症IVH,死亡危険度の有意な減少が示されている3).また,ステロイド投与後24時間以内に出生した場合では,RDS,IVHの発症は減少しなかったが,新生児死亡率の有意な減少を認めた1).母体ステロイド投与は26週未満であったり,直近の出生が予想されたりしたとしても積極的に進められることが望まれる. 出生時の処置 (a) 分娩室での処置❶オープンクベースの加温と蘇生に必要な物品の確認 分娩室の温度を30℃前後に設定する.2◆ 超低出生体重児(ELBWI)の急性期の管理B第2章早産児の管理

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