2292内分泌代謝科専門医研修ガイドブック
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副甲状腺 副甲状腺は第三・第四鰓弓に由来し,通常は甲状腺の背側に上下左右4腺が存在する.その主細胞の表面にはG蛋白共役受容体(G protein-coupled receptor:GPCR)ファミリーに属するカルシウム感知受容体(calcium sensing receptor:CaSR)が発現し,細胞外液中のCa2+濃度の上昇により活性化され,PTHの合成と分泌が抑制される.PTHは細胞外液Ca2+濃度を上昇させる作用があり,副甲状腺はPTHの分泌制御を行うことで,Ca恒常性の維持に中心的な役割を果たしている. GATA3など副甲状腺の発生や分化に必須の分子の障害により,副甲状腺機能低下症が生じる.また,CaSRの異常も副甲状腺機能障害の原因となり得る.副甲状腺は放射線に感受性が高く,外照射によりそのPTH分泌機能が障害されることがある.まれには,放射性ヨウ素内用療法後に副甲状腺機能低下症を生じることがある,副甲状腺ホルモンと副甲状腺 ホルモン関連蛋白 副甲状腺ホルモン(PTH)は両生類以上の脊椎動物に認められ,細胞外液中のCa2+濃度の恒常性を維持するうえで最も重要なホルモンである. 副甲状腺の抽出物に血中Ca上昇作用をもつ物質が存在することは1920年代から知られており,1959年に精製単離された.高感度のイムノアッセイ法が確立されるまでは,ヒトの血中PTH活性の指標として腎原性cAMPが活用された. 1979年にKronenbergらによりウシpreproPTH cDNAがクローニングされた1).ヒトPTH遺伝子は11番染色体短腕に存在し,3個のエクソンから構成され,エクソンⅡはprepro配列であるアミノ酸部分を,エクソンⅢは分泌型成熟ペプチドをコードしている(図1). PTH遺伝子の発現は血中Ca2+濃度と1,25(OH)2Dなどにより制御されている.1,25(OH)2Dはその受容体と結合することによりPTH遺伝子の転写を抑制する.また,血中Ca2+上昇によりPTH mRNAレベルが抑制される.PTH遺伝子の上流には,negative calcium-response elementが同定されており,細胞外液Ca2+は転写レベルでPTH遺伝子の転写を抑制する. 一方,細胞外Ca2+がPTH分泌を抑制する機序の研究から,Brownらは副甲状腺細胞に発現するCa SRの同定とcDNAクローニングに至った2). 1940年代から一部の悪性腫瘍患者の血中には342◉ 第8章 副甲状腺および関連疾患第8章 副甲状腺および関連疾患副甲状腺と副甲状腺ホルモンの基礎知識 ▶副甲状腺と副甲状腺ホルモン(PTH)は血中Ca2+濃度の恒常性維持に最も重要な役割を果たす. ▶血清Ca濃度の異常を認める場合は,まず血中PTH濃度を評価する.POINT1図1ヒトPTHおよびPTHrPの遺伝子構造とヒトPTHのアミノ酸配列エクソン:エクソン:11aab1b1c2345623chromosome 12,short armchromosome 11,short arm3'H2N110204050706080COOH5'5'3'AUUUATATATATATATAATGATG84AAGC139AA173AA141AAAUUUAAUUUASerArgArgLysLysSerGluGluTrpGluIleGlnGlnAspLeuLeuLeuLeuLeuAsnSerMetGlyLysMetHisHisAsnPheHisAsnValValValPTHPTHrP:翻訳領域(分泌型成熟ペプチド),:prepro配列領域,:非翻訳領域30

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