2292内分泌代謝科専門医研修ガイドブック
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指定難病制度 指定難病制度は,平成26年「難病の患者に対する医療等に関する法律」によって,発足した.本制度では,治療方法の確立等に資するため,難病患者データの収集と治療研究を推進し,効果的な治療方法が確立されるまでの間,長期療養による医療費の経済的な負担が大きい患者を支援する1).指定難病の要件に①希少性(人口の0.1%程度以下)があるが,制度発足後の当面の間は,0.15%未満(患者数18万人未満)は“0.1%程度以下”に該当するものとして運用されている.他の要件としては,②発病機構が不明,③効果的な治療法が未確立(根本的治療法なし),④長期の療養を必要,⑤診断基準が存在,⑥重症度分類が存在,があげられる1).本制度は平成27年1月1日より正式に施行が開始され,この時点で110疾病(第一次実施),平成27年7月に新たに196疾病(第二次実施),さらに平成29年4月に24疾病(第三次実施)が選定され,合計330疾病が指定難病に選定されている.指定難病330疾患のうち,ホルモン合成や作用障害の観点から,定型的な内分泌・代謝性疾患として分類可能な17疾患を表1にまとめた.一方,病態的には,古典的内分泌・代謝疾患群ではないが,内分泌・代謝異常をきたしうる指定難病疾患群を表2にまとめ,若干の説明を加えた.内分泌・代謝異常をきたす指定難病は,染色体異常を含む先天性の遺伝子異常によって起こるものが多いのが特徴といえる.選定されている指定難病の診断基準,重症度分類等の詳細な情報は,順次,難病情報センターホームページに掲載されている.また,難病の病態解明や新規治療法の開発研究は主として日本医療研究開発機構の管轄下に行われており,難病患者の生命予後の改善につながることが期待される. 副腎白質ジストロフィーは原発性副腎不全症と中枢神経系の脱髄を主体とするX連鎖型の遺伝病であり,ぺルオキシソームへの物質移送にかかわるadrenoleukodystrophy(ALD)gene product蛋白の異常により,極長鎖脂肪酸が蓄積することが原因と考742◉ 付 録付 録厚生労働省 指定難病・小児慢性特定疾病制度と内分泌関連疾患一覧3表1指定難病に選定されている定型的な内分泌・代謝関連疾患下垂体疾患 72 下垂体性ADH分泌異常症 73 下垂体性TSH分泌亢進症 74 下垂体性PRL分泌亢進症 75 クッシング病 76 下垂体性ゴナドトロピン分泌亢進症 77 下垂体性成長ホルモン分泌亢進症 78 下垂体前葉機能低下症電解質・水代謝関連疾患 225 先天性腎性尿崩症甲状腺関連疾患 80 甲状腺ホルモン不応症副甲状腺・ビタミンD関連疾患 235 副甲状腺機能低下症 236 偽性副甲状腺機能低下症 238 ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症 239 ビタミンD依存性くる病/骨軟化症副腎・性腺関連疾患 81 先天性副腎皮質酵素欠損症 82 先天性副腎低形成症 83 アジソン病 237 副腎皮質刺激ホルモン不応症番号は,難病の患者に対する医療等に関する法律第5条第1項に規定する306の指定難病で付与されている番号.先天性副腎酵素欠損症(81)には,21—水酸化酵素欠損,リポイド副腎過形成症,3β—ヒドロキシステロイド脱水素酵素欠損症,11β—水酸化酵素欠損症,17α—水酸化酵素欠損症,P450酸化還元酵素欠損症,アルドステロン合成酵素欠損症が含まれる.先天性副腎低形成症(82)には,DAX—1異常症,SF—1/Ad4BP異常症,IMAge症候群が含まれる.表2内分泌・代謝異常を呈し得るその他の指定難病と内分泌・代謝学的特徴20副腎白質ジストロフィー:副腎不全症184アントレー・ビクスラー症候群:ステロイド合成障害,副腎不全症1球脊髄性筋萎縮症(Kennedy病):軽度のアンドロゲン不応症232カーニー複合:内分泌腫瘍233ウォルフラム症候群:糖尿病,尿崩症265脂肪萎縮症:インスリン抵抗性糖尿病,脂肪肝炎193プラダー・ウィリ症候群:肥満,糖尿病,性腺機能低下症16クロウ・深瀬症候群:各種内分泌臓器障害84サルコイドーシス:中枢性尿崩症など28全身性アミロイドーシス:各種内分泌臓器障害300IgG4関連疾患:下垂体機能低下症,甲状腺機能低下症など48原発性抗リン脂質抗体症候群187歌舞伎症候群:早期乳房発育症105チャージ症候群:GH分泌不全に伴う成長障害番号は,難病の患者に対する医療等に関する法律第5条第1項に規定する306の指定難病で付与されている番号
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