2293スキルアップ!小児の総合診療
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76Ⅱ.「症状・徴候別」総合診療の実際三次診療:ICU入室の適応とICUでの治療1.ICU入室の適応①循環:ショック,大量の消化管出血.②神経:意識障害.③呼吸:①②のため人工呼吸を要する.④全身状態の急速な悪化,その他ABCDEの異常. ICU入室の意義は,手厚い看護体制,モニタリング設備,各種医療機器にある.自施設にICUがない場合は,自施設の利用可能な資源,地域全体の医療体制,小児集中治療診療の習熟度など総合的に判断し,他施設への転送を考慮する.2.ICUでの鑑別診断 ABCDEの異常を伴うと,原因の鑑別に難渋しうる.内因性疾患のみならず,中毒・薬物・外傷・異物などの外因によるものも含める.3.ICUでの追加検査①モニタリングおよび検査 II-12.ショック(p.95)の項を参照.複数の方法で監視を行い,総合的に循環血液容量を評価する.●バイタルサイン:心拍数,血圧,呼吸数,体温,尿量.●身体所見:中枢・末梢脈拍触知,末梢冷感,皮膚色,毛細血管再充満時間(capillary refill time:CRT),意識レベル,体重など.●生体モニター:心電図,観血的動脈圧,中心静脈圧など.●検査:動脈血ガス,中心静脈血ガス,生化学,血算,凝固,胸部X線,心臓超音波など.②デバイス類の留置 慎重に判断し必要最小限にとどめる.●動脈カテーテル:観血的血圧監視,頻回の動脈血ガス評価.●中心静脈カテーテル:カテコラミン投与経路,中心静脈圧監視,K補充や高浸透圧薬の投与経路.穿刺時合併症や長期留置による血栓・感染が問題となる.原則全身麻酔下で挿入する.●末梢挿入中心静脈カテーテル(peripherally inserted central catheter:PICC):高浸透圧薬や静脈栄養の投与経路.●膀胱留置カテーテル:厳密な尿量監視が必要な場合.感染・尿道損傷が問題となる.●胃管:胃内容物除去,経口摂取不能な場合の薬剤・経管栄養投与経路.気管内や食道内などの異所性留置に注意する.胃管の先端が胃内にあっても,側孔が食道内に留まっていることがある.Pitfall●十二指腸チューブ〔ED(elemental diet)チューブ〕:胃管栄養が困難な場合の投与経路.留置困難なことがある.③便迅速抗原検査と便培養●ウイルス抗原:陽性でも治療は同じである.ノロウイルス抗原は3~65歳は保険適応外である.B,C群のロタウイルス抗原は検出できない.

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