2299よくわかるNew保育・教育実習テキスト 改訂第3版
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31第2章 実習のためのカリキュラム・マネジメントになりやすい.しかし,委員会方式で重視されるべきは,委員個人の力量に頼ることではなく,組織としての委員会の安定性と発展性である.委員の一部を順次交代していく方法は,これを担保することにつながるものと考えられる.可能な範囲で試みたい方策である.3 実習指導センターによるマネジメント 養成課程が複数の学部・学科にまたがる場合,各学部・学科ごとに「実習運営委員会」を組織するだけでは,効率的な実習の運営は期待できない.例えば,筆者が勤務する養成校のように,四大・短大の双方で保育士及び幼稚園教諭の養成課程を行っている場合,実習先一つとっても重複が出てくる可能性がある.また,小学校教諭免許を取得する場合に義務づけられている介護等体験も,保育士養成課程や介護福祉士養成課程の実習先とも重複する可能性もある.こうした重複を避け,各学部・学科の実習を充実させていくためには,センター方式を採用し,実習の運営にあたることが有効と思われる. ただ,センター方式も多様である.この点について,山内乾史は大学の教養教育・共通教育を前提に,その実施形態を委員会方式,責任部局方式,センター方式の三つのパターンに整理した上で,センター方式による実施・運営について,「実施や運営に関わりをもたない(つまり研究に専念している)ものから,実施・運営だけが任務(つまり研究機能をもたない)ものまで実に多様である」と指摘している5).前者は「研究機関」,後者は「実施機関」と言えよう.さらに,山内は両機能を前提としたセンターがあることも指摘した上で,現状は「研究部門が徐々に実施に深くコミットするようになるか,逆に『実施責任4444』から解放され『実施支援4444』へと移っていくようになるか,二極化しつつある」とも述べる.これを実習にあてはめれば,実習に関する調査・研究と指導を両立するセンターから,調査・研究のみを主とするもの,実習の指導を主とするものがあり得る,ということになろう.そして,現実には実習に関する調査・研究を主とするセンターも,実習の指導という実務とは無縁に存在することは難しく,次第に「実施機関」という性格を求められる.「実施機関」を主とする場合も,実務の全責任を担うことはできず,各実習担当者に実務の責任を委ね,センターの役割はその支援に留まる,という傾向が強くなることを示唆していると言えよう. ちなみに,筆者が勤務する養成校も四大設立と同時に実習指導センターを設立し,実習の実施や運営をセンター中心に展開することを考えた.そのコンセプトは,養成課程における実習の位置づけを重視する中,実習を「理論と実践を統合し,修得する場である」と位置づけ,「大学及び短期大学と保育・教育・福祉の実践現場の緊密な連携を図りつつ,充実した実習指導の推進を図ることを目的とする」というものであった.そして,この目的を達成するため,①実習の理念及びカリキュラムの研究・調査 ②実習指導計画の▶センター方式 山内によれば,省令ないしは学内措置としてセンターを設置し,少数の専任教員が配置され,実施・運営にかかわるもののことをいう.▶委員会方式 各学部等から委員として選出された構成員による委員会を設置し,この委員会が実施・運営にかかわるもの.▶責任部局方式 特定の学部等が中心的に実施・運営を担うものである.
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