2304東大病院 新生児診療マニュアル
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発刊に寄せて 東京大学医学部附属病院の周産期センターは,2011年に総合周産期母子医療センターの指定をうけ,東京都の周産期医療の一端を担っています.新生児集中治療部は東大病院の小児医療センターにも属し,心臓手術を含めた高度の新生児疾患への対応ができるようになっています. 日本の周産期医療は,臨床成績では世界で最も優れているとされながらも,現場の教育研修体制は必ずしも十分とはいえません.全国的にも新生児科医の育成が緊急の課題とされており,小児科専門医を目指す若手医師が新生児医療について体系的に学ぶことができる体制作りが必要となっています.大学をはじめとする医育機関には,その責任を果たすことが強く求められていると思います. 東大病院は今後,NICU,GCUを現在の約2倍に増床する予定で,そこで日本の将来を担う次世代の子どもたちを守る新生児科医を一人でも多く育成していきたいと考えています. 東大NICUは今までも多くの医師に新生児医療を学ぶ機会を提供してきましたが,この増床に合わせて,東大版の新生児診療マニュアルを刊行し,多くの方々に利用していただくこととしました.本書の刊行に当たっては,立案の段階から,東大NICUの責任者である高橋尚人先生が中心となり編集作成をし,過去にあまり例のない,処方例やガイドラインなどを掲載した実践的なマニュアルとなっております.ぜひ,この機会に手にとっていただき,日常の診療に役立てていただけましたら幸いです. このマニュアルが日本の小児科医が新生児医療を担ううえで大きな役割を果たし,今後さらによいものとして版が重ねられることを心から願っています. 2017年2月 東京大学医学部小児科教授 岡 明iii
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