2309稀少てんかんの診療指標
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247第5章稀少てんかんQ&A稀少てんかんQ&A体細胞モザイクとは何ですか?一個体内に遺伝学的に異なる2種類以上の細胞が存在する状態で,通常,接合後に一部の細胞に変異が生ずることに起因します.多くの疾患で体細胞モザイクが病気の発現に関与していると想定されています.ただし,女性ではX染色体に不活化が起こるため,X染色体上の遺伝子発現は,細胞ごとにどちらか一方のアレルに由来しています.つまり,PCDH19関連症候群の場合のように,X染色体上の遺伝子にヘテロ接合変異が存在すると,それが生殖細胞変異であっても,その遺伝子発現については正常と異常,2種類の細胞が一個体内に存在することとなり,体細胞モザイクと同じ状態となります.グルタミン酸受容体抗体はどんな意義があるのですか?グルタミン酸受容体(GluR)は,イオン透過型と代謝型に大きく分類され,イオン透過型には,AMPA型GluR,NMDA型GluR,GluRD2等があり,NMDA型GluRを構成するサブユニットにはGluN1,GluN2B等があります.サブユニットごとに発現時期や発現部位が変化しますので,どのGluRサブユニットに対する抗体かによって,あるいは時期によって意義が異なります.NMDA型GluRに対する抗体の機能としては,NMDA型GluRの内在化機能がわかっており,NMDA型GluRに対する拮抗作用を呈し,種々の神経疾患で高次脳機能等の抑制をもたらします.てんかんの遺伝子検査・診断の適応は?現時点で臨床的に必須,あるいはそれに近い状況にあるものは,進行性ミオクローヌスてんかん等,原因疾患の診断に有用な場合のほか,PCDH19関連症候群のPCDH19(診断に必須),Dravet症候群のSCN1A(診断・治療薬選択に重要)があげられます.ただし,てんかんの遺伝子研究の進歩は急速で,早期発症てんかん性脳症をはじめ,数多くの責任遺伝子が日々同定されています.複数の遺伝子ではすでに薬剤選択や予後予測が可能となりつつあり,将来的に数多くのてんかんでこれが可能となることが期待されています.発作間欠期で,てんかん焦点では糖代謝や血流が必ず低下していますか?内側側頭葉における発作焦点が18F-FDG PETや脳血流SPECTにおいて発作間欠期にもかかわらず高集積を呈するという報告がまれにあり,原因として潜在性の発作(まれに頭皮上脳波でも捉えられない発作もある)が静脈投与時期の近くで起こっていたと考えられています.この場合,側性の判定を逆に間違えるということが起こり得ます.また,内側側頭葉てんかんは両側性である場合や,他領域の大脳皮質の発作焦点に合併していることもあり,臨床情報とあわせ,他検査と総合評価を行うことが重要です.2.医療者からQ6AQ7AQ8AQ9A

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