2311抗血栓薬クリニカルクエスチョン100 改訂第2版
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76 Chapter Ⅹ 抗血栓薬併用▶プラクティス 急性期では,軽症で出血性梗塞の危険性が低ければ,数日~2週間程度の短期間の2剤併用は妥当であろう.責任動脈狭窄があれば3カ月程度の2剤併用も行う.さらに高度狭窄やそれによる再発があれば,慢性期も長期の2剤併用を行うことがある.CAS後は3~6カ月程度2剤併用し,再狭窄がなければ1剤に減量する.文献 1)Geeganage CM, et al.:Acute Antiplatelet Stroke Trialists Collaboration. Dual or mono antiplatelet therapy for patients with acute ischemic stroke or transient ischemic attack:systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Stroke 2012;43:1058-1066. 2)Wang Y, et al.:CHANCE Investigators. Clopidogrel with aspirin in acute minor stroke or transient ischemic attack. N Engl J Med 2013;369:11-19. 3)Diener HC, et al.:MATCH investigators. Aspirin and clopidogrel compared with clopidogrel alone after recent ischaemic stroke or transient ischaemic attack in high-risk patients (MATCH): randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet 2004;364:331-337. 4)Menon BK, et al.:Get With The Guidelines-Stroke Steering Committee and Investigators. Rapid change in prescribing behavior in hospitals participating in get with the guidelines-stroke after release of the management of atherothrombosis with clopidogrel in high-risk patients (MATCH) clinical trial results. Stroke 2010;41:2094-2097.(藤堂謙一) 冠動脈疾患に対して,どのような場合に抗血小板薬を2剤使えばよいでしょうか?51抗血小板薬は,冠動脈ステント留置後だけでなく,不安定狭心症で早期血行再建を行わず薬物治療を選択した場合に2剤併用されます. 急性冠症候群で,早期血行再建を行わず薬物治療を選択した場合 アスピリンとクロピドグレルを併用することが勧められている1).2016年AHA/ACCガイドラインFocused Updateでは少なくとも12カ月間の継続が勧められている.冠動脈に対する血行再建としてステントを留置した場合 アスピリンは永続的投与が勧められる.急性冠症候群に対してステントを留置した場合は,ベアメタルステント,薬剤溶出性ステントいずれの場合も,1年間の抗血小板薬2剤併用が勧められる.安定狭心症に対してベアメタルステントを留置した場合は最低1カ月間の抗血小板薬併用,薬剤溶出性ステント(DES)を留置した場合は,抗凝固薬の併用がなければ最低6カ月の抗血小板薬併用が勧められる.しかし,薬剤溶出性ステント留置後の至適な抗血小板薬の併用期間については現在も議論のあるところである(Q14参照).虚血性心疾患慢性期に対する効果 CHARISMA 試験2,3)では,心血管疾患もしくは複数のリスクファクターを持つ15,603人を,アスピリン単独,アスピリンとクロピドグレル併用群に割り付け,心臓血管死,心筋梗塞,脳卒中の発症を比較した.全体では,アスピリン単独群とクロピドグレルの併用群で,心臓血管死,心筋梗塞,脳卒中の発症に有意差はなかった.ただし,心筋梗塞,脳梗塞,症候性末梢動脈疾患の既往のある患者群に限ると,心臓血管死,心筋梗塞,脳卒中の発症はア

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