2311抗血栓薬クリニカルクエスチョン100 改訂第2版
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134 Chapter ⅩⅦ 直接経口抗凝固薬キサバン群はそれぞれのワルファリン群に比べ少なかった.ダビガトラン300 mg群とリバーロキサバン群はワルファリンと同等であった(Q99参照).文献 1)Connolly SJ, et al.:RE-LY Steering Committee and Investigators. Dabigatran versus warfarin in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med 2009;361:1139-1151. 2)Patel MR, et al.:the ROCKET AF Investigators. Rivaroxaban versus Warfarin in Nonvalvular Atrial Fibrillation. N Engl J Med 2011;365:883-891. 3)Granger CB, et al.:ARISTOTLE Committees and Investigators. Apixaban versus warfarin in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med 2011;365:981-992. 4)Giugliano RP, et al.:ENGAGE AF-TIMI 48 Investigators. Edoxaban versus warfarin in patients with atrial fibrillation. N Engl J Med 2013;369:2093-2104.(小林和人) 直接経口抗凝固薬の使い分けのポイントは何ですか?93腎機能,年齢,内服回数や剤形などを考慮して選択します.  薬剤間の比較研究はないため,優劣はつけられない.しかし,医薬品添付文書の違いに基づいた薬剤選択を考えると,以下のようになる.腎機能 クレアチニンクリアランス(Ccr)が低値の場合,特に高齢者では脱水などでCcr値は低下しやすく,直接経口抗凝固薬では注意が必要である.RE-LY試験ではCcr 30以上の症例が腎機能にかかわらず220 mgと300 mgに割り付けられた.ROCKET AF試験では,リバーロキサバン群のうちCcr 30~49の症例に低用量(国際試験では15 mg,J-ROCKET AFでは10 mg)が投与された.ARISTOTLE試験ではアピキサバン群のうち,80歳以上,60 kg以下,血清クレアチニン(Crea)値1.5以上のうち2項目を満たすCcr25以上の症例に低用量(2.5 mg)が投与された.ENGAGE AF-TIMI48試験ではCcr30以上の症例が高用量群と低用量群に割り付けられ,体重60 kg以下またはCcr30~50の場合に,半量投与とされた.これらの第III相試験に基づき実際の投与量設定がなされている. ワルファリンは腎機能が低下してもPT-INRをモニターすることで効果過剰のモニタリングが可能であるため,調整しやすい.しかし,上記第III相試験の層別解析によると,良好な調整を維持できていても,腎機能低下症例は血栓塞栓症や出血合併症の頻度が増加する傾向にある. ダビガトラン(プラザキサ®)はCcr 50以下なら低用量考慮とされている.RE-LY試験ではCcr30以上を対象とし,腎機能にかかわらず2用量に割り付けられた.低用量で非劣性が,通常容量で優越性が示された.そのため,添付文書でもCcr30以上であれば通常容量・低用量とも選択可能であり,Ccr50以下で低用量「考慮」とされている.しかし,腎排泄の割合が高く,腎機能低下時に効果が増強しやすい.そのため,禁忌となるCcr値は他の3剤が15

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