2311抗血栓薬クリニカルクエスチョン100 改訂第2版
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Q93 直接経口抗凝固薬の使い分けのポイントは何ですか? 135ⅩⅦ直接経口抗凝固薬未満であるのに対し,ダビガトランはCcr 30未満である. リバーロキサバン(イグザレルト®)はROCKET AF試験に準じ,Ccr 50未満で低用量に減量とされている.Ccr 30未満では慎重投与,Ccr 15未満が禁忌とされており,禁忌となるCcr値はダビガトランより余裕のある設定となっている.ただし,ROCKET AF試験ではCcr 30以下は対象外であった. アピキサバン(エリキュース®)は,80歳以上・60 kg以下・血清Crea値1.5以上のうち2項目該当の場合に低用量に減量とされており,Ccr 50以下でも2項目該当せず通常用量となるケースも多い.Ccr 15未満で禁忌とされているのはリバーロキサバンと同様である.ただし,ARISTOTLE試験ではCcr 25未満は対象外であった. エドキサバン(リクシアナ®)は,ENGAGE AF-TIMI48試験の30 mgの有効性がワルファリンにやや劣る傾向があり,60 mgが承認された.第III相試験に準じて体重60 kg以下またはCcr50以下で低用量に減量とされており,日本人の体格から60 kg以下で低用量になる症例が多く,エリキュース®とは異なりCcr50以上でも体重のために低用量となるケースも多い.年齢 ワルファリンは70歳以上では目標PT-INRを1.6~2.6に設定する.プラザキサ®は発売開始後,高齢者の消化管出血の報告が多かったため,70歳以上は低用量も考慮するよう記載されている.イグザレルト®も75歳以上は一般的に出血リスクが高く,減量を考慮するよう記載されている.エリキュース®は減量基準の一項目に80歳以上が含まれる.リクシアナ®には年齢についての記載はない.減量基準や禁忌の判断に必要なCcr値は,年齢と血清クレアチニン値を反映しており,いずれの薬剤でも年齢を常に考慮する必要がある.剤形 ワルファリンはおもに1 mg錠が使用される.Q83のとおり,0.1 mg刻みでの用量調整が必要であり,粉砕するか顆粒剤を使用することも多い.経管での投与が可能である. プラザキサ®はカプセル製剤で,300 mg投与時は75 mgカプセルを4カプセル内服する.脱カプセルや経管投与はできず,また吸湿性が高いため一包化できない. イグザレルト®は錠剤と細粒製剤を選択できる.細粒剤の薬価は588.4円とやや高い(2017年10月現在).エリキュース®,リクシアナ®は錠剤である.リクシアナ®は,OD錠の販売が2017年8月に製造承認され,2017年11月現在,薬価は通常錠と同額となった.内服回数 ワルファリンは半減期が長く,1日1回内服で効果は安定する.内服し忘れても直ちに効果が減弱することはない.コンプライアンスをPT-INRのモニタリングで確認できる. プラザキサ®,エリキュース®は1日2回,イグザレルト®,リクシアナ®は1日1回の内服設定である.夕方の内服忘れを防ぐためには1回内服が適しているが,忘れた場合の影響が大きいともいえる.薬価 ワルファリン1 mg錠の薬価は9.6円,プラザキサ®,イグザレルト®,エリキュース®,リクシアナ®の通常用量の1日用量薬価は545.6円,低用量の1日用量薬価はそれぞれ478.6円,383円,298円,538.4円で,薬剤ごとに異なる(2017年10月現在).常用量ではいずれも同薬価だが,低用量ではエリキュース®,イグザレルト®,プラザキサ®,リクシアナ®の順に高くなる.

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