2312アルポート症候群診療ガイドライン2017
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Ⅳ 治 療38||A.保存期管理clinical question1X連鎖型アルポート症候群男性患者においてRA系阻害薬を腎機能障害進行抑制のために投与することが推奨されるかステートメント❖❖X連鎖型アルポート症候群男性患者においてRA系阻害薬を腎機能障害進行抑制のために投与することを推奨する. アルポート症候群患者に対するRA系阻害薬の効果を報告した研究について,エンドポイントを尿蛋白量の減少とした論文が7編,腎代替療法の導入とした論文が1編採用された.介入研究は6編でそのうち2編はランダム化比較試験(RCT)であったが,いずれもエンドポイントは尿蛋白量の減少であった.よって,蛋白尿減少効果についてはエビデンスが強いものの,腎機能障害抑制に関してのエビデンスはそれに劣ると判断した.また,海外のガイドラインa)においてもRA系阻害薬の使用は積極的に勧められている. 1986年に腎不全モデルラットに対するACE阻害薬の蛋白尿減少効果および腎保護効果が報告されて以降,糖尿病性腎症をはじめとした様々な腎疾患に対するACE阻害薬を含めたRA系阻害薬の効果が報告されてきた.アルポート症候群に対するRA系阻害薬の投与に関しては,2編のRCTが存在する.2011年のWebbらの報告1)は1~17歳のアルポート症候群患者30例(遺伝形式不明,男女比21:9)をアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)(ロサルタン)群と対象(プラセボ or Ca拮抗薬)群に振り分け,二重盲検にて12週間内服後の尿蛋白量を比較したもので,ARB群において尿蛋白の有意な減少を認めた.また,2013年には同じくWebbらが先のRCTを終了した患者のうち27例(遺伝形式不明,男女比20:7)を,ARB(ロサルタン)群とACE阻害薬(エナラプリル)群に再度振り分け,オープンラベルで3年間推奨グレード 1Cエビデンスの要約解説各 論2

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